五十雀俗謡集
2006-02-24T14:23:01+09:00
55kara
口承文芸の玉手箱
Excite Blog
真白き富士の嶺
http://sakusabe.exblog.jp/935210/
2006-02-25T13:29:00+09:00
2006-02-24T14:23:01+09:00
2006-02-24T13:44:43+09:00
55kara
事件もの
帰らぬ十二の 雄々しきみ霊に 捧げまつらん 胸と心
ボ一トは沈みぬ 千尋の海原 風も浪も 小さき腕に
力もつきはて 呼ぶ名は父母 恨みは深し 七里ヶ濱邊
み雪は咽びぬ 風さえさわぎて 月も星も 影をひそめ
み霊よ何処に 迷ひておはすか 帰れ早く 母の胸に
み空にかがやく 朝日のみ光 闇にしづむ 親の心
黄金も寶も 何しに集めん 神よ早く 我も召せよ
雲間に昇りし 昨日の月影 今は見えぬ 人の姿
悲しさ余りて 寝られぬ枕に 響く波の 音も高し
帰らぬ浪路に 友よぶ千鳥の 我も恋し 失せし人よ
つきせぬ恨みに 泣く音は共々 今日もあすも かくて永久に
明治43年1月23日(日曜日)午後1時30分頃、神奈川縣鎌倉と江の島の中間七里ヶ濱の荒磯に於いて逗子開成中學校所有のボ一トが沈没し、乗ってゐた12名の少年は皆溺死した。 その人々の名と年齢は、
逗子開成中學校
5年生 牧野文雌(23)笠尾虎治(22)徳田勝治(21)木下三郎(20)
小堀宗作(20)宮手登 (18)
4年生 松尾寛之(19)谷多操 (18)
2年生 徳田逸三(17)奥田義三郎(15)内川金之助(年不明)
逗子小學校児童 徳田武 (11)
以上で、徳田姓を名乘る勝治、逸二、武の3人は兄弟であった。此の12名は1月23日の朝9時30分中學校のボ一トを三浦郡田越村字堀の内の海岸から乘り出した。朝から天候不穏だったので其の時海洋で演習をしてゐた田越村の消防夫たちは中止をすヽめたが、聞かずに江の島さして漕ぎ出したのである。午後に到って風が強くなり波が高くなってついにボ一トは七里が濱の沖で沈没してしまった。 七里が濱は難所して知られ、その海洋へ泳ぎつかうとすると強い底流のために東方に流される。 だから少年達は海岸へ泳ぎつく事が出來なかったのだらう。
少年たちのうち木下三郎は二本の櫂を持って小坪の海洋(鎌倉と逗子の間)まで泳いで來たが陸地に達せずして人事不省となり小坪の漁夫2名に救はれたが蘇生しない。漁夫たちは急いで學校へ報告する。
校長田邊氏は直に救助に向ひ、横須賀警察からは署長吉警視自ら20名の巡査を率ゐて現場に急行し、22隻の漁船に200名あまりの漁夫を乗せて屍体捜索に向かった。 24日午後横須賀鎮守府からは駆逐艦、吹雪、霞の2隻が派遣された。
21日午後には畏くも葉山に御避寒中の皇太子殿下(大正元天皇)騎馬にて海洋へ御微行あり捜索隊の行動を望見あらせられたのみならず居合せた生徒に種種御下問あった。
25日正午頃七里が濱の沖で始めて 2人の少年のしたい屍体が発見された。 制服着用爪の徳田勝治が。飛白(かすり)の綿入に外套を着した弟武治を確かりと抱きしめたまま死んでゐるのだつた。當日午後なほ2名の死体を発見した。
26日は激しい風雲。27日には逗子葉山村民は皆休業して捜索に赴き、横須賀からは水雷艇7隻が出動した。さうして残る7名の死体を全部七里ヶ濱沖合で発見した。27日の午後5時、逗子延命寺で哀悼の式が行はれ、其の時此の歌が鎌倉女學校の最上級生(4年生)に依って合唱された。
作詞者三角錫子刀自は鎌倉女學校の教諭で、逗子に住んで居り、此の事件を目撃した。
此の曲は when we arrive home と云ふ題のアメリカの曲で garden と云う人の作である。これが「昔のわが宿変わらぬふるさと」と云ふ訳詞によってひろく女學校などで欧はれ、常時最も愛好された旋律であった。この歌詞は「哀悼の歌」と題せられて雑誌「月刊楽譜」に出てゐたものである。単行本はその後に出版され、大正7年頃からは演歌となって巻間に流布したが、歌詞も変へられ、曲は短調になってしまった。]]>
蒙古放浪歌
http://sakusabe.exblog.jp/743774/
2006-02-12T09:30:39+09:00
2006-02-12T09:30:39+09:00
2006-02-12T09:30:39+09:00
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書生節
路頭に迷う女性に恋するを 不純の恋と誰が言う
雨降らば降るがよい 風吹かば吹くがよい
泣いて笑って月下の酒場に こび売る女性は 水蓮の如き純情あり
酒は飲むべし百薬の長 女は買うべし人生無上の快楽
幼少美女の膝枕に快楽の一夜明ければ 夢もなしまた金もなし
砕く電剣握る美林 のぞくコンパス六分の儀
ああ我山行 渡鳥 いざ唄わんかな 蒙古放浪の歌を
心猛くも 鬼神ならぬ 人と生まれて 情けはあれど
母を見捨てて 波越えてゆく 友よ兄等と 何時亦会はん
波の彼方の 蒙古の砂漠 男多恨の 身の捨てどころ
胸に秘めたる 大願あれど 生きて帰らむ 希みはもたぬ
砂丘を出て 砂丘に沈む 月の幾夜か 我等が旅路
明日も河辺が 見えずば何処に 水を求めん 蒙古の砂漠
朝日夕日を 馬上に受けて 続く砂漠の 一筋道を
大和男の 血潮を秘めて 行くや若人 千里の旅路
負はす駱駝の 糧薄けれど 星の示せる 向だに行けば
砂の逆巻く 嵐も何ぞ やがては越えなん 蒙古の砂漠
水産放浪歌
富貴名門の女性に恋するを 純情の恋と誰がいうぞ。
暗鬼紅灯の巷に彷徨う女性に恋をするを 不情の恋と誰がいうぞ。
雨降らば雨降るもよし 風吹かば風吹くもよし
月下の酒場にて媚を売る女性にも 純情可憐なる者あれ。
女の膝枕にて一夜の快楽を共に過さずんば 人生夢もなければ恋もなし。
響く雷鳴 握る舵輪 睨むコンパス六分儀
吾等海行く鴎鳥 さらば歌わん哉 吾らが水産放浪歌
心猛くも 鬼神ならず 男と生れて 情はあれど
母を見捨てて 浪越えてゆく 友よ兄等よ 何時また会わん
朝日夕日を デッキに浴びて 続く海原 一筋道を
大和男子が 心に秘めて 行くや万里の 荒波越えて
波の彼方の 南氷洋は 男多恨の 身の捨てどころ
胸に秘めたる 大願あれど 行きて帰らじ 望みは待たじ
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ノルマントン号沈没の歌
http://sakusabe.exblog.jp/743675/
2006-02-12T09:14:25+09:00
2006-02-12T09:25:37+09:00
2006-02-12T09:14:25+09:00
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事件もの
青海原を ながめつつ わが同胞(はらから)は 何処ぞと
呼べど叫べど 声はなく たずねさがせど 影はなし
うわさに聞けば 過る月 二十五人の 同胞は
旅路を急ぐ 一筋に 外国船とは 知りつつも
航海術に 名も高き イギリス船と 聞くからに
ついうかうかと 乗せられて 波路もとおき 遠州の
七十五里も はや過ぎて 今は紀伊なる 熊野浦
名も恐ろしき 荒波に 乗り出でたるぞ 運のつき
折りしも雨は 降りしきり 風さえ添えて 凄まじく
渦巻く波を 巻きあげて われを目がけて 寄せ来たる
かすかに見えし 灯台の 光もいつしか 消えうせて
黒白も分かぬ 真の闇 水先はかる 術もなく
乗合人も 船人も 思案にくるる 瞬間に
岩よ岩よと 呼ぶ声の マストの上に 聞こゆれば
あわやとばかり 身をかわす いとまもあらで 荒波に
打ち流されて 衝突の 一声ぼうと とどろけば
流石に堅き 英船も 堪えも果さで 打ち破れ
逆巻く波は 音高く 機関室へと ほとばしり
凄き声して 溢れたり 斯くと見るより 同胞は
互いに救い 救われて みな諸ともに 立ち上がり
八州船の 救いをば 声を限りの もとむれど
外国船の 情けなや 残忍非道の 船長は
名さえ卑怯の 奴隷鬼は 人の哀れを 外に見て
己が職務を 打ち忘れ 早や臆病の 逃げ仕度
その同胞を 引きつれて バッテーラへと 乗り移る
影を身送る 同胞は 無念の涙 やるせなく
溢るる涙を 押し拭い ヤオレ憎き 奴隷鬼よ
如何に人種は 違うとも 如何に情けを 知らぬとも
この場をのぞみて 我々を 捨てて逃がるるは 卑怯者
思い出せば その昔 俊寛僧都に あらねども
沖なる島の 身を投じ 見るも憎しや 情けなや
彼は岩なり 我は船 みすみす沈む 海原の
底の藻屑と なりゆくは いといと易き ことながら
家に残れる 妻や子や 待ちくたびれし 弟妹の
我なき後は 如何にせん 憂きぞいとぞ 思わるる
浮世は仮とは いいながら 常なき者は 人ごころ
昨日の恩は 今日の仇 斯かる奴とは 露知らず
その信義をば 片頼み ついうかうかと 大海に
乗り出でたるぞ 恨めしや よしや恨みは 残すとも
汝が為せる 罪悪は この世のあらん 限りには
などで晴さで おくべきか 右手に稚子 左手には
老いたる者を 助けつつ 悲嘆に沈む 涙淵
伏しつまろびつ 泣き入りて 目もあてられぬ 風情なり
折りしも一人の 少年は 甲板上に よじのぼり
沖なる方を 打ち見やり せきくる涙 とどまらず
「われ航海の 一端も 学び覚えし ことあらば
日頃の技倆を あらわして 逃るる術は 易けれど
わが同胞の 危難をば 捨てて救わで ただ一人
命を惜しむ たわけもの 大和心の 大丈夫(ますらお)に
嘲り笑わる 苦しさよ いざ是よりは 潔よく
みな諸ともに この身をば 千尋の海に 打ち沈め
藻屑とこそは 果てなん」と 呼び終わる その中に
無常を告ぐると 時の鐘 山なす波に 打ちまかせ
二十五人の 同胞は 無惨や藻屑と なりにける
斯くと知らずや 白波を 舟に乗じて 船長は
紀伊の浜辺に 上陸し 領事庁へと 進みいで
己が過失を おおわんと 非を理にまぐる 陳述を
音に名高き ホント氏が 何どて知らざる 事やある
固より知りつる 事ながら わが東洋に 人なしと
日頃の傲慢 あらわして 大悪無道の 奴隷鬼を
無罪放免 それのみか アッパレ見事の 船長と
褒めはやしたる 裁判を 聞いて驚く 同胞は
切歯扼腕 やるせなく 世論一時に 沸騰し
正は正なり 非は非なり 国に東西 ありとても
道理に二つ あるべきか ノルマントンの 船長の
その暴悪の 振舞いは 外つ国々の 人ですら
その非をせめぬ 者ぞなき 乗合多き その中に
白晳人種は みな生きて 黄色人種は みな溺る
原因あらば 聞かまほし 彼も人なり 我も人
同じ人とは 生まれながら 危難を好む 人やある
いのち惜しむぬ 者やある イギリス国の 法官よ
汝の国の 奴隷鬼は 人を殺して 身を逃る
義務を忘れて 法犯す 極悪無道の 曲者ぞ
これぞ所謂 スローター などて刑罰 加えざる
などて刑罰 加えざる 汝が国は 兵強く
軍艦大砲 ありとても わが国民は 知識なく
国が実に 弱くとも 鳥や豚では あるべきか
是非曲直を 知る者を 大和だましい ある者を
二千余年が その間 尚武の国と 名も高く
外国人の 侮りを 受けしこと さえなきものを
斯くする法の 傲慢の その裁判に おめおめと
従う奴隷が あるべきか 汝知らずや 我が民は
恥のためには 命をも 義理にのぞめば 財産も
捨てて惜しまぬ その理は 破船の時の 少年の
挙動を見るさえ 知りつらん わが同胞は 不常にも
無惨の横死と 聞くならば 雲井にかける 都人も
伏屋に宿る しずの女も 六十余州は みなおなじ
己が困苦を 打ち忘れ その兄弟は 妻子まで
救わでやまぬ 鉄石の 心は同じ 敷島の
大和ごころの 大丈夫 道理つめなる 論鋒や
その豪気なる 振舞いは 岩をも砕く いきおいに
さすがに名高き 英人も 傲慢心は 打ち破れ
一旦免せし 奴隷鬼を 一言いわさず 引捕らえ
ふたたび開く 公判に 罪科の所置を 定むれば
二十五人の 家族らも 三千余人の 同胞も
その公平に 感嘆し 積もるうらみも 是に晴れ
波風にわかに 沈まりて 残るは元の 月ひとつ
いとあざやかに 見えにける それを見るにも 思いやる
いまは明治の 御治世 外交とみに 繁くなり
国事も日々に 多端なり はるかに彼方を 見渡せば
筑紫の海は 波高く 風さえ強き 秋の空
薩摩の海の 南には 豺狼の住む 国もあり
用意もなくて うかうかと 吹き流されて 破船せば
二十五人は まだ愚か 三千余万の 兄弟も
あわれ危難に 過るにも まして条約 改正の
今にも談判 整わば 内地雑居と なり来り
赤髪碧眼 かず多く わが国内に 乗り込みて
学問知識を 競争し 工芸技術 それぞれに
名誉の淵に 乗り出し 勝負を競う 事なれば
油断のならぬ 今の時 ノルマントンの 沈没の
その惨状を 知る者は 心根たしかに 気をはりて
若しくも第二の 奴隷鬼や なお恐ろしき ファントムが
顕われいでたる 事あらば 三千余万の 同胞は
みな諸ともに 一致して 力を限り 情かぎり
縦横無尽に 憤撃し それでも及ばぬ その時は
生命財産 なげうちて 国の権利を 保護して
保たにゃならぬ 国の名を 保たにゃならぬ 国の名を
明治20年に流行した。作詞家不肖、作曲者ルルーは、陸軍軍楽隊を指導したフランス人で、彼が作曲した「抜刀隊の歌」の曲を借りて歌詞を載せ替えたものと、『日本流行歌史(上)』説明している。メディアのない時代、こんな風にして事件は喧伝された。]]>
へそ穴口説
http://sakusabe.exblog.jp/732459/
2006-02-11T14:42:28+09:00
2006-02-11T14:57:35+09:00
2006-02-11T14:42:28+09:00
55kara
瞽女唄
国は内股 ふんどし郡(ごおり) だんべ村にて ちんぼというて
おそれおおくも もったいなくも 天の岩戸の 穴よりはじめ
亭主大事に こもらせ給い ふじの人穴 大仏殿の
柱穴にも いわれがござる 人の五体に 数ある穴に
わけてあわれや へそ穴くどき 帯やふんどしに 締めつけられて
音(ね)でも息でも 出すことならぬ 仁義ごとにも 出ることならぬ
夏の暑さに じつないことよ ほんに体も とけるよでござる
日の目おがまず 夜昼しらず よその穴ショの 楽しみ聞くに
春は花見に 夏蛍見に 秋は月見に 冬雪見とて
耳はおお聞く 琴三味線の 鼻は香(こう)買い蘭麝(らんじゃ)の香り
口は三度の 食事のほかに 酒や魚や 茶菓子というて
うまいものには 鼻ふくらしゃる
おらが隣の 朋輩穴は かわいがらるる 愛嬌もちて
世間のつきあい 慰みごとよ 月に一度の お厄のほかに
夜毎夜毎に その賑やかさ きんべおととに きんしちというて
暮れの六つから 明け六つまで どたらばたらと裏門たたく
わしもたまげて 覗いてみれば 光る頭を ぶらぶらと下げて
坊主頭に 縦傷はわせ 禿げた頭に かづらを巻いて
おらは隣に 大法事がござる 誰が法事だやら わしゃ知らねども
知らん坊さん達 出たり入ったりなさる
お米とぐやら 白水ながす おとき喰うやら口ぐちゃやしゃと
お布施つつむやら 紙ぐしゃぐしゃと わしら屋敷まで 白水ながす
いかにわたしが りくぶじゃとても よその騒ぎで 気ばかりもめる
せめてぐるわに 毛でも生えたならば ごみやほこりを 入れさせまいと
あるに甲斐なき へそやこれの穴 サエー
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新保広大寺節
http://sakusabe.exblog.jp/729898/
2006-02-11T10:23:08+09:00
2006-02-11T10:32:35+09:00
2006-02-11T10:23:07+09:00
55kara
瞽女唄
新保 ナーエ コリャ 広大寺かめくり(花札ばくち)こいて
コリャ 負けた ナーエ 袈裟も衣も ヤーレ みなさえ コリャ 取られた ナーエ
(囃し)
ああいいとも いいとも 一時こうなりゃ 手間でも取るかい ナーエ
あとでもへるかい いいこと知らずの 損とりづらめが いいとも そらこい
新保広大寺に 産屋が出来た お市案ずるな 小僧にするぞ ナーエ
桔梗の 手拭いが 縁つなぐなら おらも染めましょ 桔梗の型てば ナーエ
(囃し)
そうとも素麺 下地が大事だ こいてばコンニャク きんには大事だ
もっとも麦飯 とろろが大事だ おらカカそれより まんこが大事だ
いいとも そらこい
さほど目に立つ お方じゃないが どうやら私の 虫やが好くてば ナーエ
(囃し)
新潟街道の スイカの皮でも 抱いたら離すな 十七島田に 乗ったら降りるな
きっきとこいだら ほっぺに吸い付け いいとも そらこい
新保広大寺が ねぎ喰って死んだ 見れば泣けます ねぎのはたけ ナーエー
殿さ殿さと ゆすぶりおこせば 殿さ砂地の 芋で無いぞ ナーエー
越後ごぜ達が唄い広めた「新保広大寺節」は、江戸時代の五大流行唄の筆頭ともいわれた。北上した越後ごぜは、山形、秋田、青森、北海道と唄い歩き、そして「津軽じょんがら節」、「口説節」、「道南口説」、「北海道鱈つり唄」などに流れ継がれていった。
関東方面に上京した越後ごぜによって、このザレ歌は上州風土に合う「木崎音頭」、「八木節」へと変じていったといわれる。
南下した越後ごぜは、信州路から甲州路や中仙道へと唄い歩き、「古代神」、「麦わら節」に変化や影響を与えた。また、三国峠を越えて「八木節」や「船屋唄」のルーツとなり、北へ向かって秋田民謡に影響を与え、青森で「津軽じょんがら節」を生み、更に西へ向かっては、中国地方の民謡「古代神」の元唄となり、全国各地の「口説」の源流となっている。
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秩父音頭
http://sakusabe.exblog.jp/720738/
2006-02-10T18:51:36+09:00
2006-02-13T14:05:38+09:00
2006-02-10T18:51:36+09:00
55kara
音頭もの
雲のナァーエ 雲のさわ立つ アレサ 奥秩父 ※ 以下唄ばやし同様
咲くは山吹 躑躅の花よ 秩父銘仙 機(はた)どころ
花の長瀞 あの岩畳 誰を待つやら 朧月
三十四ヶ所の 観音巡り 娘十九の 厄落とし
一目千本 万本咲いて 霞む美の山 花の山
霧に濡れてか 踊りの汗か 月にかざした 手が光る
主のためなら賃機(ちんばた)夜機(よばた) たまにゃ寝酒も 買うておく
今宵一夜は 三峯泊まり 明日は雁坂 十文字
遠く聞こゆる あの笛太鼓 あれは秩父の 盆踊り
桑の葉影に 流るる太鼓 武甲二子(ふたご)の 月明かり
燃ゆる紅葉を 谷間の水に 乗せて荒川 都まで
炭の俵を 編む手にひびが 切れりゃ雁坂 雪化粧
秋蚕(あきご)仕舞うて 麦蒔き終えて 秩父夜祭り 待つばかり
<唄ばやし>
おらが方じゃこうだヨ おかしけりゃお笑いなット コラショ
そうともそうともそうだんべ あちゃむしだんべに吊し柿ット コラショ
朝霧けたててよく来たね ちょっくら寄っておあたりなット コラショ
押せ押せ押せな 押してもいいから突っつくなット コラショ
坂道登ってよく来たね 田楽芋でも おあがんなット コラショ
おっきり込みが出来たから ちょっくら寄っておあがんなット コラショ
済まない済まない済まないね 済まなきゃ女房にしておくれット コラショ
べーべー言葉が止んだらば ナベやツルベは何ちゅうべット コラショ
盆が来たのに 踊らぬやつは 子でもはらんだか すばこが出たか
早く越せ越せ 大浜船頭 皆野通いが 遅くなる
大田田の中 桜ヶ谷は都 米のなる木を 見て暮らす
土京さだめて 戦場を越えて 行けば三沢の 三夜様
●口説調
木崎街道の 三方の辻に お立ちなされた 石地蔵さんよ
男通れば あちら向いてござる 女通れば 袖引きなさる
これがヤーハーエー これがまことの 色地蔵さんよー
金もないのに 大寺建てて 高さ十二間 横幅九間
奥の欄間の 彫りもの見たか 奥の欄間の 彫りもの見たか
一にナーハーエー 一にトタンに 十二の湯桶
おらが隣りじゃ いい婿取った おらがとなりじゃ いい婿取った
医者で伯楽で 大工で左官 臼の目も切る こたがもかける
人に頼まれりゃ 屋根屋もするが 人が見なけりゃ ちょくら持ちもなさる
何の因果が 餌さしが好きで 餌さし出るたび 足袋装束で
腰に餅つぼ 手に竿下げて 裏の小山へ よっこらよいと登る
一丁登れば 小松原がござる 松の小枝に 小鳥が一羽
こいつさしてやろうと 竿取り直す 竿は短し 小鳥は高い
そこで小鳥の 申することにゃ お前餌さしか わしゃ百舌の鳥
お前竿持って さすのが渡世
ご縁あるなら またこの次に ご縁あるなら またこの次に
さしてもらおうと 暇(いとま)とる
●金子伊昔紅作
花の長瀞あの岩畳 誰を待つやらおぼろ月
秋蚕仕舞うて麦蒔き終えて 秩父夜祭待つばかり
炭の俵を編む手にひびが 切れりゃ雁坂雪かぶる
咲くは山吹つつじの花よ 秩父銘仙機どころ
宝登の並木で松約束よ 何を長瀞してるやら
一夜泊ればつい長瀞の 味が忘れぬ鮎の宿
さす手引く手の揃いの浴衣 どれが姉やら妹やら
わたしゃ本場の秩父の娘 仇にゃ織らない色模様
主のためなら賃機夜機 たまにゃ寝酒も買うておく
夢も長瀞うれしい一夜 宝登のよいのが忘られぬ
小春障子に影ゆらゆらと 籾をするすの嫁姑
月は傾き踊は果てて 暁のしじまを飛ぶ鴉
月がやぐらの真上に来れば 踊り澄む輪の十重二十重
庄司重忠ゆかりの秩父 今にすたらぬ義と情
わたしゃ中津の炭負い嫁 深山ざくらは遅く咲く
霧に濡れてか踊りの汗か 月にかざした手が光る
踊り疲れて輪を出てみたが 主の音頭でまた踊る
一目千本万本咲いて 霞む美の山花の山
●公募歌詞(昭和5年~47年)入選作
好いて好かれて好かれて好いて やがて世帯は皆野町
鳥も渡るかあの山越えて 雲のさわ立つ奥秩父
恋は異なもの首さえ捨てた 皆野戦場の石地蔵
遠く聞こゆるあの笛太鼓 あれは皆野の盆踊り
武甲山割りドンと鳴りゃ昼よ いとし女房と麦茶漬
狭霧朝霧炭つけ馬 かげは見えねどシャラシャンと
忍び逢う時は浅間山の 尾根の松の葉月かくせ
泣いて別れた栗谷瀬川原 知るは渡しの舟ばかり
燃ゆる紅葉を谷間の水に 乗せて荒川都まで
踊り太鼓が手に取るように 嫁の里から皆野から
元は繰り舟親鼻渡し 今はタクシー二人づれ
主が唱えば私が踊る 共にやぐらの上と下
秩父音頭も踊れぬくせに 嫁にゆくとは気が強い
盆だ盆だよみな出て踊れ 釈迦も孔子も来て踊れ
秩父むかしから踊りの国よ 踊りおどらにゃ名がすたる
月の露営の仮り寝の夢に ひびけ今宵の笛太鼓
雨が降るよと蓑笠つけて 山の高処の桑摘みに
無理のようだが男を産めと 主のたよりが戦地から
霧が湧き立つ霧藻が峯に 啼いて明かしたほとぎす
炉縁いとしやもろこし餅で 踊り太鼓をたたく真似
三十四ケ所の観音めぐり 娘十九の厄おとし
山の鴉が塒に帰へる わたしゃお主に逢ひにゆく
瀞の雄滝が雌滝に通ふ 月もひととき雲がくれ
鮎の早瀬にせかれて下る 心残りの岩だたみ
谷間づたいに太鼓がひびく 踊りどこだと月にきく
主が来たかと機音止めて 出れば月夜の蕎麦畑
二瀬ダムから流れる水が 里じゃ黄金の波となる
もろこし焼餅はたいて吹いて 炉端色めく嫁ばなし
鮎の早瀬に夕日が落ちりゃ 踊やぐらの灯が映る
機を織る灯がいつしか消へて 桑の夜露に月宿る
月にかざした踊の手にも 逢ふたあの娘の香が残る
うどにのごんぼたろっぺに蕨 おらが秩父の味のよさ
笛や太鼓の音きくままに 花の秩父路更けてゆく
桑の芽立ちにせかるる心 遠い浅間の灰曇り
桑の芽立ちの秩父路行けば 瀞のあたりは花曇り
咲くは石楠花駒鳥啼いて 登る両神霧の中
秩父山脈しずかに眠りゃ 屋台ばやしがゆり起こす
恋の長瀞おぼろに暮れて 影が寄り添う岩だたみ
美鈴山から出てくる月を 招く踊りの手が揃う
わたしゃ栃餅山家の育ち 主はもろこし里生れ
羊山には朝日が昇り 秩父夜祭り夜明けまで
栗も笑み頃茸も出頃 娘年頃恋ごころ
添うて嬉しい二人を映す 花を浮かべた瀞の水
柿ももがなきゃ鴉がつつく わたしゃ熟れたになぜ取らぬ
秩父夜祭りえにしの糸よ 今じゃ機織る主のそば
虹がつないだ栗谷瀬渡し 恋のかけ橋いつかかる
想い出しますあの盆踊り 主と踊った愛宕塚
わたしゃ国神あなたは三沢 今じゃ二人の皆野町
踊る手と手に輪と輪がゆれる 月じゃ兎の手がゆれる
夢にまで見た皆野の町へ あすはお嫁にゆくわたし
孫を抱えた姑と嫁を のせて豆トラ野良がえり
はずむ踊の輪と和が結びゃ つなぐ手と手が町づくり
背戸の畑の芽桑の帯を ほどく手元の日が伸びる
踊る姿に見とれて居たら いつか手を振り首を振る
柿を囲んで明るい夜業 むいてつるべて春を待つ
皆野みなのが皆出て踊りゃ 知らず知らずに丸くなる
調子とりとり腰うごかして 心ゆくまで踊るよさ
家内総出で踊った顔に 笑いこぼれるけさの膳
町を総出の踊りの宵は 昇る月さえ丸くなる
夢のお国かおとぎの国か 霧にネオンの浮かぶ街
忍び逢う坂金比羅あたり かなえ栗谷瀬恋の橋
月がささやく太鼓が招く 踊るあの娘は目で招く
秩父深山に石楠花咲けば 恋も咲きます二瀬ダム
踊り明かした娘の頃を 想い出させる笛太鼓
皆野みの山月の出日の出 夢と文化の皆野町
わたしゃ還暦まだまだ若い 踊太鼓に気もそぞろ
歌と踊でとけ合う時は 月もほほえむ夜も明ける
孫の踊に手拍子そろえ わしも自慢の音頭とる
老いも若きも揃って更けりゃ おぼろ月夜の夢の町
伊豆や草津のいで湯のまちに 秩父音頭の花が咲く
皆んな集まれ皆野の人よ おどる輪の中唄の中
唄い上手ときいてはいたが 主の音頭にまた惚れた
手ぶり明るい踊の花が 咲くよ住み良い皆野町
孫の音頭で姑と嫁が 踊りゃ笑顔に花が咲く
皆野来たなら嫁さも踊れ 婆が手をとる留守もする
夕飯すませてひと風呂浴びて あとは踊りを待つばかり
嫁も姑も手拍子そろえ 唄と踊りの輪がはずむ
人目しのんで長瀞下り のぞく山吹雪やなぎ
花のしとねを着て美の山が 秩父音頭の町を抱く
秩父音頭の生まれた里は 花の美の山皆野町
春は長瀞美の山までも 花に浮かれた人の波
板東西国秩父の札所 めぐり納めの水潜寺
お山がかりを花火で知らしゃ 街は灯の海人の波
皆野親鼻大浜までも 流しおどりの花が咲く
春の講社の満員馬車に 宝登の土産の渋団扇
紅の匂いもほんのり見せて 三十四番の結願寺
芽吹くあぜ桑菜の花小みち 札所まいりの鈴の音
馬車にゆられて宝登山まいり 鹿とお猿のお出迎え
花とぶどうの皆野の町は 秩父音頭の歌の町
春の秩父路お遍路さんの 笠に蝶々がもつれあう
願いごとなら宝登山さまへ 好いたあの娘と添えるよに
樽に腰かけ盃被り 羅漢様さえうかれ出す
西に両神南に武甲 遠く三峯奥秩父
可愛あの娘のお遍路姿 笠に隠れた顔見たい
手びき荒びきもろこし餅の 中は味噌餡漬菜餡
雲が飛び行く甲武信の空へ 招く山百合奥秩父
花の美の山紅葉の中津 瀞に掉さす舟下り
峰の雪さえほろりととかす 秩父娘のかたえくぼ
お蚕上手で踊りも上手 おらが娘さあの手振り
●相の手
おーらがほーじゃこうだよ おかしけりゃお笑いな
そうともそうともそうだんべえ アチャムシダンベにつるし柿
朝霧けたててよく来たね ジロバタ寄っておあたんな
おっきりこみが出来たから ちょっくら寄っておあがんな
べえべえ言葉がやんだらば 鍋やつるべばナンチューベ
おらがほーじゃこーだよ そうともそうともそうだんべ
スッチョイバケツが十三銭 安いと思ったら底ぬけた
すまないすまないすまないね すまなきゃ女房にしておくれ
押せ押せ押せな 押してもいいからつっつくな
寄って飲みなよせくこたねーよ 朝茶はその日の難のがれ
ほりながらずに言ってみな 駄目ならさらっと諦めな
しちふりこいてと言われても でっけえことをやってみな
一富士 二鷹 三なすび お嫁に行く日はまだ見ない
いいから貸すから飲んできな ある時きゃさらりと置いてきな
ああだんべこうだんべ 言わなきゃ話がまとまらぬ
ラッキョウラッキョウ 生ラッキョウ むいてもむいても種がねえ
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日新斎いろは歌
http://sakusabe.exblog.jp/674332/
2006-02-06T20:28:00+09:00
2006-02-07T14:37:31+09:00
2006-02-07T14:29:39+09:00
55kara
道歌もの
[ろ] 楼の上も はにふの小屋も 住む人の 心にこそは たかきいやしき
[は] はかなくも 明日の命を 頼むかな 今日も今日もと 学びをばせぞ
[に] 似たるこそ 友としよけれ 交らば われにます人 おとなしき人
[ほ] ほとけ神 他にましまさず 人よりも こころに恥ぢよ 天地よく知る
[へ] 下手ぞとて 我とゆるすな 稽古だに つもらばちりも 山とことの葉
[と] 科ありて 人を斬るとも 軽くすな いかす刀も ただ一つなり
[ち] 智恵能は 身につきぬれど 荷にならず 人はおもんじ はづるものなり
[り] 理も法も 立たぬ世ぞとて ひきやすき 心の駒の 行くにまかすな
[ぬ] ぬす人は 余所より入ると 思うかや 耳目の門に 戸ざしよくせよ
[る] 流通すと 貴人や君が 物語り はじめて聞け 顔もちぞよき
[を] 小車の わが悪業に ひかれてや つとむる道を うしと見るらん
[わ] 私を 捨てて君にし 向はねば うらみも起こり 述懐もあり
[か] 学文は あしたの潮の ひるまにも なみのよるこそ なほ静かなれ
[よ] 善きあしき 人の上にて 身を磨け 友はかがみと なるものぞかし
[た] 種子となる 心の水に まかせずば 道より外に 名も流れまじ
[れ] 礼するは 人にするかは 人をまた さぐるは人を さぐるものかは
[そ] そしるにも ふたつあるべし 大方は 主人のために なるものと知れ
[つ] つらしとて 恨みかへすな 我れ人に 報ひ報ひて はてしなき世ぞ
[ね] ねがはずば 隔てもあらじ いつはりの 世にまことある 伊勢の神垣
[な] 名を今に 残しおきける 人も人 心も心 何かおとらん
[ら] 楽も苦も 時すぎぬれば 跡もなし 世に残る名を ただ思ふべし
[む] 昔より 道ならずして おごる身の 天のせめにし あはざるはなし
[う] 憂かりける 今の世こそは 先の世と おもへばいまぞ 後の世ならん
[ゐ] 亥にふして 寅には起くと ゆふ露の 身をいたづらに あらせじがため
[の] 遁るまじ 所をかねて 思ひきれ 時に到りて 涼しかるべし
[お] 思ほへず 違ふものなり 身の上の 欲をはなれて 義をまもれひと
[く] 苦しくも すぐ道を行け 九曲折の 末は鞍馬の さかさまの世ぞ
[や] やはらぐと 怒るをいはば 弓と筆 鳥にふたつの つばさとを知れ
[ま] 万能も 一心とあり 事ふるに 身ばし頼むな 思案堪忍
[け] 賢不肖 もちひ捨つると 言ふ人も 必ずならば 殊勝なるべし
[ふ] 無勢とて 敵をあなどる ことなかれ 多勢を見ても 恐るべからず
[こ] 心こそ 軍する身の 命なれ そろゆれば 生き揃はねば死す
[え] 回向には 我と人とを 隔つなよ 看経はよし してもせずとも
[て] 敵となる 人こそはわが 師匠ぞと おもひかへして 身をもたしなめ
[あ] あきらけき 目も呉竹の この世より 迷はばいかに 後のやみぢは
[さ] 酒も水 流れも酒と なるぞかし ただ情けあれ 君がことの葉
[き] 聞くことも 又見ることも 心がら 皆まよひなり みな悟りなり
[ゆ] 弓を得て 失ふことも 大将の 心一つの 手をばはなれず
[め] めぐりては 我身にこそは 事へけれ 先祖のまつり 忠孝の道
[み] 道にただ 身をば捨てむと 思ひとれ かならず天の たすけあるべし
[し] 舌だにも 歯のこはきをば 知るものを 人は心の なからましやは
[ゑ] 酔へる世を さましもやらで さかづきに 無明の酒を かさぬるは憂し
[ひ] ひとり身を あわれと思へ 物ごとに 民にはゆるす こころあるべし
[も] もろもろの 国や所の 政道は 人に先づよく 教へ習はせ
[せ] 善に移り 過れるをば 改めよ 義不義は生れ つかぬものなり
[す] 少しきを 足れりとも知れ 満ちぬれば 月もほどなき 十六夜のそら
■島津日新斎(忠良)
島津家の内紛を収拾した忠良は、子貴久を守護職につけ、1550 年(天文19 年) 加世田へと退いた。その後も行者的、学者的活動で貴久を支援した。神儒仏教の合一、四書五経と朱子学の推奨と「伊呂波歌」の作歌で家臣団統率にあたり、近世大名としての島津氏の基礎をつくっ た。日新斎の教えは、島津家の家訓として 受け継がれ、薩藩士風の指針を示すとともに、精神文化の高揚に大いに役立った。
「いろは歌」にうかがえる儒教的な心構えを基礎とした忠良の教育論は、孫の四兄弟・島津義久、島津義弘、島津歳久、島津家久にまで受け継がれることとなり、現代にも大きな影響を与えている。
晩年は島津日新斎と号し、いずれも優秀な四人の孫を「総領の義久、武勇の義弘、智謀の歳久、兵法の家久」と評し、1568年死去した。
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南部流酒造り唄
http://sakusabe.exblog.jp/673840/
2006-02-06T19:36:00+09:00
2006-02-07T13:52:43+09:00
2006-02-07T13:37:13+09:00
55kara
作業うた
一、
米搗きはサーヨーイ 楽だと見せて(合唱)らーくジゃーない
何仕事 サーヨーイ 仕事に楽は (合唱) あーりゃしーない
ヨイトコ ソーリャ(合唱) サーノーナー ヨーイ
二、
山鳩は 酒屋の破風に (合)巣をかけた
夜明ければ 米張れ搗けと (合)さえずるよ
流 し 唄
一、
(甲) ハーアアー今朝のヤー 寒さに ハーアア洗番はー どなた
(乙) 可愛いヤー 男のー ハーコリャー 声がーするヨ
二、(甲)可愛い 男の 洗番のときは (乙)水も湯となる 風たたぬ
三、丹波 通いに 雪降り積る 家で妻子が 泣いている
四、家で 妻子が 泣くのも道理 私しや他国で 泣いて居る
五、会津 磐梯山 宝の お山 笹に黄金が なりさがる
六、笹に 黄金が なるとは嘘よ 辛棒する木に 金がなる
七、丹波 与作どの 馬方やめて 今じゃお江戸で 二本差す
八、二本 さすとて 威張るな与作 娘かんざし 二本さす
九、二本 かんざし 伊達にはささぬ 切れし前髪 留めにさす
十、切れし 前髪 櫛の歯でとめる とめてとまらぬ 色の道
米 研 ぎ 唄
一、
(甲)ざぐりナー ハエざぐりと 今研く米で ヨー
(乙)お酒ナー ハエ造りて お江戸に出す ヨー
二、お江戸ナー ハエ出す酒 名のよいお酒 ヨー
三、酒はナー ハエ剣菱 チョイト男山 ヨー
四、研げゃナー ハエ研げゃとげ 研ぎあげて 煙草 ヨー
荒もと摺唄(曲、詩とも米搗唄と同じ)
一、荒もとは 楽だと見せて (合)楽じゃない 何仕事 仕事に楽は (合)ありゃしない
二、山鳩は 酒屋の破風に (合)巣をかけた 夜明ければ 酒売りだせと (合)さえずるよ
三、南部では 高さもたかい (合)岩手富士 県下ろせば 盛岡市が (合)目の下に
四、名所では 石割桜 (合)お城跡 清らかな 北上川が (合)流れおる
五、乙部町 柳の葉より (合)狭い町 狭いとて 一夜の宿で (合)銭をとる
六、松前は 南部の果の (合)はなれ島 はなれも 一夜の宿で (合)銭をとる
七、松島の 瑞巖寺程の (合)寺もない 前は海 後は山で (合)小松原
八、仙台の 宮城ケ原の (合)萩の花 咲き揃うて 錦にまさる (合)萩の花
九、頼みます 左の方に (合)頼みます 文句のよいとこ (合)頼みます
もと摺本調子唄
ハー 音頭来たそうだー アヤーエ 皆様たーのむ
(合)声をそーろえて エヤーエ 頼みますヨー
一、トロリトーロリとヤーエ出た声なればー (合)声をとーられたーヤーエ 川風にヨー
二、川の鳴る瀬に 絹ヤ機たてて 波に織らせて 瀬に着せる
三、揃うた揃うたと 南部衆が揃うた 秋の出穂より なおそろうた
四、揃うた出穂にも おくれ穂もござる 此の家 若い衆 おくれゃない
五、おくれないのに はやり伴天きせて やるぞ伊丹の はたらきに
六、やるぞ伊丹で 今とる もとで お酒 造りて 江戸に出す
七、江戸に出す酒 品のよいお酒 酒は剣菱 男山(その庫の酒名)
八、男山だと どなたが名を呉れた 諸国諸大名 名をくれた
九、諸国諸大名 生れはいづこ 出羽が庄内 鶴ケ丘
十、鶴ケ丘では 羽黒山の鐘は ついて放せば 七日なる
十一、七日なるとは 撞木か 鐘か 鐘と撞木が 合えばなる
十二、どんと飛びます 大阪の城は 前は淀川 船がつく
十三、船がつくとは 昔のことよ 今はごみ川 鰌がつく
十四、鰌のつくは 秋坂ごろよ 春は雪じる 鯉がつく
十五、肥えた鯉鮒 みみずで釣るが 都女郎衆は 金で釣る
十六、よかろよかろと もと屋さんがおしゃる これでオシャンなら おさめおく
十七、納めおくには 何というで止める 酒屋ご繁昌と いうて 止める
ヨーイヨイヨイワサノ サーサコレワイサノサ
ヨーイワヤッサノヨイ
仲仕込唄
一、
ヤーアレとーろりナンセーエエ エーエエとーろりと~ヤーエ
出たこーえ~なーれ~ば(合)ヤーアレこーえをナンセーエエ
エーエエとーられた~ヤーエ かーは かアアぜエーに
二、
揃た揃たと 仲搗き揃うた(合)秋の出穂より なおそろた
三転(さんころ)搗唄(仲唄)
これから三転(ころ)始りだ(合)ハー俺も一本しようかいな
ハーヨイワサ (合)ハーヨイワサ
一、
お婆さん 何処ござるノーヤ 一升に二升 三升に四升 五升揃
横脇の方に ぶらしゃらと さげて(合)嫁の在所にノーヤ 孫抱きに
二、
お爺さん 何処(どっちゃ)ござるノーヤ ワッパに糧飯 きせるのドウラン
腰に鎌 さげて
三、
竹に雀が ノーヤ あっちの薮から こっちの薮えと チンチンパタパタ
口元そろえて 寒竹唐竹 孟宗なんぞと 品よくとまる
(合) とめて 止まらぬノーヤ 色の道
四、
竹のきん切口ノーヤ すこたまこだまに なみなみたっぷり たまりし水も
(合)澄まず濁らずノーヤ 減りもせず
五、
竹の一本橋ノーヤ 細くて長くて しなしなしおって 危いけれども
小田原提灯 一本足駄で ヒラリヤヒラリと 品よく渡りしときは
(合)すべってころぶともノーヤ 諸共に
六、
竹の一本橋ノーヤ 細くて長くて しなしなしおって 滑って転んで
危ないけれども お前と二人で お手々をつないで 大阪下りの 蛇の目傘
相寄り差し合い お口を吸寄せ 渡るなら 渡る
(合)落ちてくたばる共ノーヤ 厭(いと)やせぬ
七、
丹波与作どんはノーヤ 喰つく撥つく 飼葉桶 叩き毀す
馬防棒(まふせぎ)は 引き折る(ひっぽしょ)る 登り坂厭がる
下り坂は頑張る 朝寝は喜こぶ 仕舞酒は頑張る 馬方なれど
(合)今じゃお江戸でノーヤ 二本差す
八、
江戸の与惣兵殿ノーヤ 三年三月九十九日 寝るのもねないで 算盤抱えて
シッツキバッツキ 弾き出したる 引かけの追かけの車
(合)誰が廻すやらノーヤ くるくると
変調子
九、
ヤレくるりとヤーエ 廻るのが淀の (合)ヤレ川瀬のヤーエ 水車よ
十、
唄の仕舞は ヤーエ 何というて止める
(合)ヤレご繁昌と ヤーエ 云うて止めるよ ハア ヨイワヤッサノ ヨイ
留仕込唄
サーアヨンセー(合)サーヨンセー サーアヨンセー(合)サーヨンセー
一、
ハイとーろーリナ ハイとーろーりとーヤーエ(合)ハヨーイヨイ
出たーこーえー なーれーど
(合)ヤーレこーえエエをナ ハエとーらーアれたーヤーエ
(音)ハヨーイヨイ(合)かーわかーぜーに
二、
川の鳴る瀬に 絹ヤ織たてて 波に織らせて 瀬に着せる
三、
そろうたそろうたと 南部衆がそろうた 秋の出穂より なおそろうた
四、
そろうた出穂にも おくれ穂がござる この家お庫に おくれない
五、
おくれないのに はやり伴天きせて やるぞ伊丹の はたらきに
六、
やるぞ伊丹で 今搗く留で お酒造りて 江戸に出す
七、
江戸に 出す酒 品のよいお酒 酒は 剣菱 男山(自庫の酒名)
八、
以下(もと摺本調子唄の歌詞通用)
仕舞唄の数々
イ、よかろよかろと 松尾様のお告げ(合)これで納めなら おめでたい
ロ、見ればよさそだ 皆様 いかが(合)これでオシャンなら おさめおく
ハ、唄の 仕舞は 何というて止める(合)酒屋 ご繁昌と いうて止める
ニ、千秋楽 には これ限りない(合)鶴と 亀とが 舞いあそぶ
ハ、そのや 鶴亀 何と云うて遊ぶ(合)酒屋ご繁昌と いうてあそぶ
ニ、いきけば目出たい その唄返えせ(合)酒屋ご繁昌と いうてあそぶ
ホ、聞けば よい声 も一度たのむ(合)酒屋ご繁昌と いうて止める
ヘ、俺も 商売じゃ も一度返えせ(合)酒屋ご繁昌と いうて止める
(総合唄)
ハア留を搗いてはシャンとせ ハ、オシャシャノ シャンとせ
ヨーイワヤッサノ ヨイ
数え文句
一、始まつたるは 一の谷 鵯(ひよどり)越えの 真坂落し
二、日光 結構 ありがたいは 信濃の 善光寺
三、山州は山の中 おまんは 毛の中
四、四ッ谷 赤坂 麹町 たらたら落ちるは お茶の水
五、ゴオンと 鳴るは 明け六ツの鐘 可愛い殿御の 目を覚す
六、六千軒は 高田のご城下 雪の降ること 日本一
七、お七可愛いや 鈴ケ森 スッカラチャンコ 灰にした
八、八ツバンドは 蛸の足 いかにも蛸に 足八本
九、九宝丹は 風邪払い 万金丹は 腹薬 馬の小便 水薬
十、藤堂は 和泉(いづみ)の守
十一、十一面は よい面だ
十二、十二薬師に 願をかけ 可愛いあの娘と 添ように
十三、十三明の春 穴蜂刺すのは まだ早い
十四、十四の春まで 待って呉れ
十五、十五夜お月は 世に余る 釜屋の品物 手に余る
十六、十六羅漢は 働らかん 大寒小寒 酒のかん
十七、十七島田は 投島田 抱いたら離すな 乗ったら降りるな
ギュッギュとやらかせ
十八、十八女子の 棚ざらし
十九、十九穴蜂 脚気の妙薬
二十、廿というては 一わたり(二回目は二わたり)
酒造従業者の作業唄は、「歌も半給料」といわれるほど重要視された。
作業歌は、故郷をはなれた蔵人たちの郷愁を忘れさせて作業能率を高めるとか、従業者の意思を統一をはかるためだけでなく、歌によって作業の区切りを行っており、作業によって歌が異なる。
機械化などで酒造工程が合理化されるにつれ、作業唄の重要度は低くなった。現代では時計を使って作業の区切りを行うために、歌を歌いながら作業をする風景などは見られなくなっている。]]>
筑子(こきりこ)節
http://sakusabe.exblog.jp/659941/
2006-02-05T15:48:00+09:00
2006-02-06T15:57:30+09:00
2006-02-06T15:49:20+09:00
55kara
盆踊り系
(囃子)窓のサンサもデデレコデン はれのサンサもデデレコデン
筑子の竹は 七寸五分じゃ 長いは袖の カナカイじゃ
踊りたか踊れ 泣く子をいくせ ササラは窓の 許にある
向の山を 担(かず)ことすれば 荷縄が切れて かづかれん
向の山に 啼く鵯(ひよどり)は 啼いては下がり 啼いては上がり
朝草刈りの 目をばさます 朝草刈りの 目をさます
月見て歌ふ放下(ほうか)のコキリコ 竹の夜声の 澄みわたる
万のササイ放下(ほうげ)すれば 月は照るなり 霊(たま)祭
波の屋島を 遁れ来て 薪樵るてふ 深(み)山辺に
烏帽子狩衣 脱ぎ葉てて 今は越路の 杣刀
娘十七八 大唐の藁じゃ 打たねど腰が しなやかな
想いと恋と 笹舟にのせりゃ 想いは沈む 恋は浮く
イロハの文字に 心が解けて 此身をせこに 任せつれ
かぞいろ知らで 一人の処女(なじょ)が いつしかなして 岩田帯
向いの山に 光るもんにゃ何んぢゃ 星か蛍か 黄金の虫か
今来る嫁の 松明(たいまつ)ならば さしあげて 燃やしゃれやさ男
漆千杯 朱千杯 黄金(きん)の鶏 一番(つがい)
朝日かがやき 夕日さす 三つ葉うつ木の 樹の下に
色は匂へど 散りぬるを 我世誰ぞ 常ならむ
憂ゐの奥山 今日越えて 浅き夢みし 酔ひもせず
「こきりこ」は、越中五箇山・上梨の山里を中心に伝承された全国的に有名な古代民謡る。
多くの民謡は起源や伝承の経緯がつまびらかでないのに比べ、この唄は『越の下草』や二十四輩順挿図絵、『奇談北国巡杖記』などの古文献に記載されており、大化改新(約一四〇〇年前)の頃から田楽として歌い継がれてきたという。
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村上甚句
http://sakusabe.exblog.jp/659688/
2006-02-05T15:24:00+09:00
2006-02-06T15:24:42+09:00
2006-02-06T15:24:42+09:00
55kara
盆踊り系
赤い切れかけ 島田のうちは 何で心が定まろうや
諦めて 酒でも呑んで 白川夜船で 寝たも良い
あまりつらさに 出て山見れば 雲のかからぬ山はない
現れまして 首渡しょとも しかけた間男 止められぬ
いつも来もせぬ この綾錦 丈がないので 結ばれぬ
今も鳴る 正午の鐘は 古い城下を 思わせる
唄えと 責めたてられた 唄が出ないで 汗がでる
唄の出処は 大町小町 唄うて流すは 下小町
梅は岡本 桜は吉野 蜜柑紀伊国 栗丹波
大きな魚 おらが釣り上げた 川原柳の 下流れ
大町衆にゃ 限るではないが お酒の呑む人 どなたでも
裏の三度豆 筍入れて 落とし玉子は なおよかろ
和尚様に 帯買うてもろた 品がようて 柄がようて 勿体のうて 締められぬ
和尚様に ゆもじ買うてもろた 幅がようて 模様がようて 勿体のうて 締められぬ
押せ押せ 村上の船頭 押せば瀬波が 近くなる
押せ押せ 新潟の船頭 押せば新潟ヤも 近くなる
お茶は水がら 子は育てがら 下女とはさみは 使いがら
お寺の前で 音頭取ったおなご 年は若いが 唄上手
男情なし この博多帯 とかく丈がない 切れたがる
踊らば 今夜限り 明日の晩から 踊りゃせぬ
踊りくたびれた 藁草履切れた 明日の朝草 なじょにしょや
踊り子 何故足袋履かぬ 履けばよごれて 底切れる
踊らば 今夜だに踊れ 明日の晩から 踊られぬ
お前様に 七分通り惚れた あとの三分は 想うてくれ
お前さんに 限るではないが お金のあるひと どなたでも
お前さんに 何言われたとても 水に浮き草 根に持たぬ
思うて通えば 千里も一里 逢はで戻れば また千里
面白うて 足が地に着かぬ イヤお狐コンコンでも ついたやら
親の意見と なすびの花は 百に一つも 無駄はない
お城山から 粟島眺め 心浮き橋かけて見る
俺とお前は 御門の扉 朝に別れて 夕に合う
鍛冶町から 鍾馗さま出ても 肴町通いは 止められぬ
上総ヤは 木綿の出処 兎角丈がないで切れやすい
鐘を叩いて 仏様であれば 鍛冶町若い衆は みな仏
髪は本田に 結うてはみれど 心島田に 結いたがる
通うてくれ 霜枯れ三月 花の三月 誰も来る
河内様 よく聞き分けて 二度と頼まぬ 今一度
可愛うて良うて 目が離されぬ これが他人だと 思われぬ
かわら毛だとて 御諸願掛けた お鎌で刈るよな 毛が生えた
雲に架け橋 霞みに千鳥 お呼びないこと おしゃんすな
来るかやと 上下ながめ 川原柳の 音ばかり
下渡羽下の淵 どこの在郷だと思うな 村上五万石 目の下に
下渡山に お振り袖着せて 奈良の大仏様 婿にとる
来いとおじゃれば 身はどこまでも 下は南部の はてまでも
鯉の滝のぼり 何と云うてのぼる つらいつらいと 云うてのぼる
郷内おんちゃ 曲がりがね呑んだ のどにはばけないで よく呑んだ
声の枯れるのも 身のやつれるも みんなお前の ためだもの
声の出ないとき 馬の尻ツビなめれ 馬の尻ツビから スコタンコタンと コエがでる
心急けども 今この身では 時節待つより 他はない
腰にひょうたん下げ 相の風吹けば 飛んで行きたや お滝様
こぼれ松 手でかきよせて お前来るかと 焚いて待つ
在郷のとっつあ モッコにかて飯 ほうの葉に握り飯 親の代から
一代二代三代伝わる
桐の木ずんぐり あかつか煙草の こ臭いところを こてこてと詰めた
山辺里馬市 馬買いに
下がりの藤 手は届けども 人の花なら 見たばかり
鷺の首 べらぼのように長うて おまえさんと寝た夜の 短かさよ
五月節句は 蓬に菖蒲(あやめ) わしは御前に のぼる鯉
山辺里橋 真ん中から折れた 今にどの橋 渡ろやら
してもしたがる 十六七娘 親もさせたがる 繻子(しゅす)の帯
島田まげ 蝶々が止まる 止まるはずだよ 花だもの
しゃきとしゃあれ のげはばたしゃたと あじなものだよ きせるさし
しょったれ嬶 鍋でけっつあろた いけとっつあ魂消て おはちで褌あろた
白と黒との 碁盤の上で せきを争う 浜千鳥
城山から 大川みれば 流れまかせの いかだ乗り
城山から 川口見れば お滝不動 鉄の橋
城山から 下見下ろせば 茶摘み桑摘み たのしげに
城山の あの頂へ 金のしゃちほこ かざりたや
せめて雀の 片羽欲しや 飛んで行きたや お滝様
雪下駄の 裏打ち金よ なるもならぬも 金次第
千松山 そよ吹く風は 流れ流れて 滝不動
大工さんとは 名はよけれども 真の心は 曲がりがね
大仏様 横抱きにして お乳呑ませた 親みたや
出せ出せ 出さねば破る 娘出さねば 壁破る
出せとは俺から言わぬ お前こころに あればこそ
例え胸に 千把ャの 萱焚くとても 煙ださねば 人知らぬ
月は傾く 東は白む 踊り連中も ちらほらと
出た出た 今朝出た舟は 波に押されて 磯廻る
出て行く 煙が残る 残る煙が 癪となる
寺の前で 音頭取った女御 なりは小さいども 唄上手
天守のやぐらの お羽黒様は 七日祭の十日の湯立 親にかいても 見にござれ
どうでもしやんせ どうにでもなる私 お前任せたこの身
どんどうと 鳴る瀬は 何処よ あれは瀬波の お滝様
どんぶり鉢 落とせば割れる 娘島田は 寝て割れる
バカ長い町だ 足駄カンコで通うた 金の足駄も たまりゃせぬ
並べておいて 縦縞きせて どれが姉ちゃやら おばちゃやら
並べておいて 縦縞着せりゃ どれが姉やら妹やら
縄帯締めて 腰には矢立 瀬波通いは 止められぬ
新潟ャの 川真ん中で あやめ咲くとは しおらしや
主と別れて 松の下通れば 松の露やら 涙やら
寝むられないと 夜中さなかに起きて 人目忍んで 神頼み
羽黒様から お滝様見れば 出舟入舟 帆掛け舟
花のようなる 宝光寺様に 朝日さすまで 寝てみたや
一夜は緞子(どんす)の枕 あすは浮き舟 波枕
踏め踏め踏め 角力取るときは 土俵へこむまで ドンと踏め
ぼっこれても 骨離れても わたしゃ要で 止めておく
惚れて見るせいか 乱れし髪も 金の瓔珞(ようらく)下げたよだ
盆だてのんに 何着て踊る 笹の葉でも着て 踊りガサモサと
盆の十六日 暇くれと願うた ササゲ和え物鉢 取って投げた
盆も過ぎれば 十五夜も過ぎる 露に放れた きりぎりす
待ってくりゃんせ 血が出て困る 紙でも夾めましょ 草鞋くい
ままよ滝田や 高雄でさえも お呼びやせぬぞえ 紅葉狩り
三面川 水晶のような流れ 玉の瀬の音 さらさらと
三面川 宝の蔵よ あれを見やんせ 鮭の群
三日月様 何故細々と 細いはずだよ 病みあがり
むすめ 島田に 蝶々が止まる 止まるはずだよ 花だもの
むすめ 十六七 抱き頃寝頃 おっちょこちょいとまくれば 会わせ頃
むすめ 十六七 渡し場の船よ 早く乗ってくりゃんせ 水が出る
娘十六 ササギの年よ 親もさせたがる 針仕事
村上 色香の町よ 堆朱堆黒 茶の香り
村上だよ 良い茶の出どこ ならび鮭川 山辺里織り
村上は 良い茶の出どこ 娘やりたや お茶摘みに
村上は 良い茶の出どこで のぼれば葡萄の ぶどう酒(さけ)と
下れば松山温泉だ ならび鮭川 山辺里織り
もっくらがして 親衆に見せた 親衆ぶったまげて 嫁捜す
もっともだよ 御行様さえも おやま掛け掛け めろめろと
揉めや揉め 揉まねばならぬ 揉めば茶となるお茶となる
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施餓鬼供養和讃
http://sakusabe.exblog.jp/659166/
2006-02-05T14:21:00+09:00
2006-02-06T14:23:30+09:00
2006-02-06T14:23:30+09:00
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和讃もの
帰命頂礼釈迦如来 阿難尊者のおん慈悲に
こたえて説かる施餓鬼法 この世はみたまかずかずの
いまだに迷う業の世や
救いの道はただひとつ 心施物施の布施の行
南無や大悲の観世音 十方諸佛十方法
十方僧に供養せん
神咒お加持の功徳力 この土を清くやすらかに
慳む心を捨てさりて 発菩提心この世界
全てのねがい叶うなり
南無や五如来その利益 むさぼるこころ除かれて
福徳智慧を円満し 身心共に晴れやかに
受ける施食も恐れなし
有縁無縁のへだてなく その悦びのしあわせは
行う人の身にやどり わざわいの雲打ち拂い
世々長寿受くるらん
天下法界 同利益
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道歌拾遺集2
http://sakusabe.exblog.jp/658499/
2006-02-05T13:07:00+09:00
2006-02-07T04:12:46+09:00
2006-02-06T13:07:07+09:00
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道歌もの
腹立てば まずそのままに 寝るがよし 覚むれば 心直るものなり
腹を立つ 心より火の 燃えいでて 我と我が身を 焦がしこそすれ
世の人の 蛇けんを抜いて かかるとも 我が了見の 鞘に納めよ
雨にふし 風になびける なよ竹は よよに久しき ためしならずや
足元に 道はありけり とどめずば くぐらすもまた くぐるのもまた
人の胯 くぐって恥じぬ かしこさに 智者のかがみと 今にほめられ
ただ忍べ 人の人たる みちのくの しのぶの外に みちあらめやは
塵ばかり 怒らで しのびてぞ 山より高く 徳はつもらん
堪忍の
堪忍の なる堪忍は 誰もする ならぬ堪忍 するが堪忍
堪忍の なる堪忍が かんにんか ならぬかんにん するが堪忍
かんにんは 必ず人の ためならず つまるところは 己が身のため
駆けいだす 心の駒を 引きとむる 手綱となせよ 堪忍の二字
かんにんの 神の利益ぞ あらたなる われはらくして 人はよろこぶ
錦にも 綾にもあらぬ 堪忍の 袋のひもは 見事なりけり
堪忍の 袋を常に 首にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え
堪忍は 駿河第一 富士の山 三国一の 徳となるらん
愚痴短気 りん気怒りの 胸の火を なだめ沈むる 堪忍の徳
辛抱と 堪忍するが 何よりも よろず仕遂ぐる 伝授なりけり
堪え忍ぶ 心しなくば 誰もみな 欲と怒りに 身をばたもたじ
何事も ただ堪忍の この箱へ 世世納めたる 家ぞめでたき
人の身の 慎むわざは 多けれど まづ堪忍を 第一にせよ
むかむかと
限りなく いかに腹立つ ことありと 顔をそんじて 声高くすな
むかむかと 腹のたつとき かえり見よ 理か非かまたは 短慮なるかと
青筋の 額に角が 顕はるる 内にねたみの とがりある故
焼き餅は 遠火で焼けよ 焼く人の 胸も焦がさず 味わいもよし
世の中に 人をそねむは 目に見えぬ 鬼よりもなお 恐ろしきかな
いつわりも
偽らぬ ものと思いし 鏡すら 左と右に うつる世の中
いつわりも 人にいいては やみなまし 心の問わば いかがこたえん
人問わば 海を山とも 答うべし 心の問わば なんと答えん
人問わば とにもかくにも 答うべし こころが問わば 如何に答えん
偽りの あるをば知らで 頼みけん 我が心さえ うらめしの身や
八百の うそをじょうずに 並べても 誠ひとつに かなわざりけり
犬桜 咲かでも 春を送れかし 我が身の恥を われとあらわす
えせものと 人にいわれん あさましや めをひきゆびを さされてはさて
えせものは あたりにあるも むつかしや ましてむつびん 事はゆめゆめ
えせものは 人の憂いを よろこびて よしときくをば そねむなりけり
世の中は うそばかりにて 過ぎにけり きょうもまたうそ あすもまたうそ
さのみまた 人の心を うたがへば わが偽りの ほどぞ知らるる
真実で よし一時は 負けるとも 虚偽で勝つには まさりけるかな
真実の 目がさめたれば 世の中の 憂きもつらきも 皆嘘の皮
真実の 目が明かぬから うろたへて 我と我見る 憂い目つらい目
へつらわず
へつらわず おごることなく あらそわず よくをはなれて 義理を案ぜよ
人に負けて 己に勝ちて 我を立てず 義理を立つるが 男伊達なり
へつらわず おごることなく 争わず 欲を離れて 義理を案ぜよ
知らぬこと
井の中の 蛙と身をば 思いつつ 知らぬことをば ただ人に問え
知らぬ道 知ったふりして 迷うより 聞いていくのが ほんの近道
我を捨てて 人に物問い 習うこそ 智恵をもとむる 秘法なりけり
大事をば 一人計らう ことなかれ 心得たらん 人に問うべし
知らぬこと 知った顔して いわしゃるな 口を開くと はらわたが見ゆ
何事も 知らぬが仏 しったとは いまだ凡夫の ときの名なりし
教えおく
古えの 人の踏みけん 古道も 荒れにけるかも 行く人なしに
古えの 道を聞いても 習うても 身の行ないに せずば甲斐なし
かいなしや 今日は昨日の 過ちを 思い知りても 改めぬ身は
教えおく ことたがわずば 行く末の 道遠くとも 後は惑わじ
折々に 遊ぶいとまの ある人の いとまなしとて 文読まぬかな
可愛くば 二つ叱って 三つ褒めて 五つ教えて 善き人にせよ
さまざまの 教えはあれど 悪を止め 善をするより 外に道なし
天道は 物言わずして 教ふるを 見つけぬうちは 常闇の国
人の身に よきことあらば おのれまた およばぬまでも 学ぶべきなり
まなぶべし 山猿さえも 教ふれば 立ち舞うわざは なすものぞかし
諸人の 教えとなりし ひとことは 千々の黄金に かえんものかは
世の中を やすやすわたれ 古人の 聖のふみを 道のしおりに
わが子女を 怠惰となすも 朝夕に 母の教えの 一筋による
怠らず
怠らず 行かば千里の 末も見ん 牛の歩みの よし遅くとも
養生は ただ働くに しくはなし 流るる水の くさらぬを見よ
よどみなき 水にほこりの 張る間なし 見るにつけても 稼げ世の中
上々も これは及ばず 我々が 働いて食う めしのうまさよ
雨だれに くぼみし軒の 石みても 堅きわざとて 思いすてめや
立てそむる 志だに たゆまねば 竜のあぎとの 玉もとるべし
末ついに 海となるべき 山水も かねて木の葉の 下くぐりけん
吉野川 その源を たずぬれば まこもの雫 花の下露
よしのがわ たずねてみれば 水もなし 茨の下の 松の葉の露
人はただ
朝起きの 家は朝日が 差し込んで 貧乏神の 入りどころなし
朝寝する 家は朝日が 取り巻いて 貧乏神の 出どころもなし
稼ぎなば 貧乏神は 裸足にて 追いつく隙は さらになからん
一日に 一時づつの 早起きは 月に五日の 長生きぞかし
口ひとつ 過ごす鶏さえ 七つ起き 人と生まれて 朝寝するとは
この秋は 水か嵐か 知らねども 今日の勤めに 田草取るなり
生業を 勉むる道の 奥にこそ 黄金花咲く 山はありけり
春くれば 夏くるものを 拵えて 今日一日も あだにくらすな
春日から 夏秋の冬の ことをせば 時にあわねど 時にあうもの
人はただ まめではたらく こそよけれ ああままならぬ 浮世次郎兵衛
人はただ まめで四角で 柔らかく 豆腐のように 変わらぬがよし
見渡せば 富み貧しきは なかりけり おのれおのれの 勤めにぞある
行く水に 身をばまかせて 人のため いそしみめぐる 水車かな
金銀も
世の中に 花も紅葉も 金銀も 与えてあるぞ 精だして取れ
苦にやむな 金は世上に 撒いてある 欲しくばやろう 働いて取れ
田や山に 金はいくらも 捨ててある 鍬で掘り出せ 鎌で刈り取れ
ふめたたら たたらふめふめ ふめたたら 精さえだせば 金はわきもの
求むれば 求むるままに 月雪も 花も紅葉も 玉も錦も
月雪も 花も紅葉も ぜに金も 我が身にあるぞ 働いてとれ
世の中は 蝿取り蜘蛛に ふくろ蜘蛛 かせぐのもよく かせがぬもよし
一銭も そまつになさず 種とせば こがね花咲く 春に逢うべし
一銭も あだに使うな 一粒が 万倍になる ことを思えば
けんやくの 伝授というは ほかになし こらえぶくろの 紐のしめよう
算盤は 嘘をおかさず 無理させず これにまかせば 家内安全
金かねと やたらに金を かきこんで 金の重さに 腰が折れけり
ぜに金を 我がもの顔に 頼むなり おっつけ土と なるも思わで
火の車
金持ちと 朝晩すつる 灰吹きは たまるほどなお きたないと知れ
金貯まる 人の心と 灰吹きは たまるほどなお 汚くなるぞ
金持ちが あるが上にも 金銀を 増やしたがるを 貧人という
金銀を 使い捨てるも たわけ者 食わずにためる 人も馬鹿者
金銀は 世の宝なり たくわえて 人のためとも なすぞ尊き
いつの世も 世間知らずの 義理知らず 情知らずが 金持ちとなる
めでたやな 下戸の建てたる 倉もなし 上戸の倉も 建ちはせねども
金ほしや 地獄の沙汰も 金次第 とはいえ金で ゆかれぬ極楽の道
金をのみ 欲しがる人ぞ おかしけれ こがねがめしの 代わりやはする
火の車 つくる大工は なけれども おのがつくりて おのが乗りゆく
貧苦をも いとわず今日を 稼ぎなば 明日は分限と なれる世の中
貧乏の 棒もかせげば おのずから 振り回しよく なるも世の中
貧乏は すまじきものぞ すそ綿の 下から出ても 人にふまるる
不義にして 集めたくわう 銭金は 積もりて後に 身のあだとなる
福の神 祈る間あらば 働いて 貧乏神を 追い出せかし
よい仲も 近頃疎く なりにけり 隣に倉を 建てしより後
若きこと 二度はなしとて 楽するな 年は寄りても なぐさみは金
金かねと 騒ぐ中にも 年が寄り その身が墓に 入相の鐘
苦しみて
一生は 旅の山路と 思うべし 平地は少し 峠沢山
苦しみて 後に楽こそ 知らるなれ 苦労知らずに 楽は味なし
何一つ とどまるものも ない中に ただ苦しみを 留めて苦しむ
人のため 身を惜しまぬは 仏なり 楽をしたがる もとはこれ鬼
得たるとて
得たるとて 強いて過ぐすな その技を 隠せば光 いや増しにけり
何事も 我をあやまり 順いて 負けてさえいりゃ その身安心
はしなふて 雲のそらえは のぼるとも おれがおれがは 頼まれはせず
おのが目の 力で見ると思うなよ 月の光で 月を見るなり
たらちねの 親の残せし 形見なり いや慎しまん 我が身ひとつを
言うべきを
人まえに 思案もなくて ものいうな 言いていわぬに おとることあり
浅き瀬は 波風高く 聞こゆれど 深き浦には 音はなきなり
何事も われ知り顔の 口たたき 詰めたる樽は 鳴らぬものかな
世の中は なにもいわずに いよすだれ そのよしあしは 人に見え透く
言うべきを 言わざるもまた 言わざるを 言うも道には かなわざりけり
善きことは 大いに広め 悪しきをば 見ざる聞かざる 言わざるぞよき
雑談に 心の奥の 見ゆるかな 言の葉ごとに 気を使うべし
つつしみを 人のこころの 根とすれば ことばの花も まことにぞ咲く
空言は ことに妄語の 罪ふかし 我が身もまどい 人もそこなう
月も日も さやかに照らす かいぞなき この世の人の うわの空言
人の口
むつかしや ねといくどいや 無用なる ことをばたずねき かであるべき
偽りの なき世なりせば いかばかり 人の言の葉 うれしからまじ
恐るべき 槍より怖き 舌の先 これが我が身を つき崩すなり
かりそめの 言の葉草に 風立ちて 露のこの身の 置き所なし
ご主人の 内のことをば 外に出て よしあし共に いうなかたるな
三寸の 舌で五尺の からだをば 養いもする 失いもする
たれ込めて 己にただせ 世の中の ほめる言葉も そしる声をも
虎に乗り 片割れ船に 乗るとても 人の口端に 乗るな世の人
人のこと 我にむかいて 言う人は さこそ我がこと 人にいうらん
人ごとを 我にむかいて いう人は さぞ我がことも 人にいうらん
世の中は 虎狼もものならず 人の口こそ なおまさりけれ
今日ほめて 明日悪く言う 人の口 なくもわらうも うその世の中
涼しいけりゃ 涼しすぎると 人の口 戸はたてられぬ 夏の夕暮れ
天地の 開けぬ先に 歌うらん 卵の中の にわとりの声
つとめても
つとめても また勤めても つとめても 勤めたらぬは つとめなりけり
器用さと 稽古と好きの 三つのうち 好きこそものの 上手なりけれ
つるべなは おりつあがりつ 働きて ふづとめはせぬ 非番当番
花になり 実になる見れば 草も木も なべて務めは ある世なりけり
笛吹かず 太鼓たたかず 獅子舞の 後足になる 人もあるなり
世渡りは 狂言綺語と 同じこと 上々も役 下々も役
人使う 身になればとて 使わるる 心となりて 人を使えよ
寒に耐ふ 梅も操の 高ければ 慕いくるらし 谷の鴬
慈悲もなく
慈悲の目に 悪しと思う 人はなし とがある身こそ なおあわれなれ
慈悲もなく 恩をも知らず 無道なる 人の心は 狗におとれり
他を恵み 我を忘れて 物事に 慈悲ある人を 仁と知るべし
わが恩を 仇にて返す 人あらば またそのうえに 慈悲をほどこせ
慈悲じゃとて 施すものは 虚栄心 受ける者には 増す依頼心
月と日と
朝起きて 夕べに顔は 変わらねど 何時の間にやら 年は寄りけり
明日ありと 思う心に だまされて 今日をむなしく 過ごす世の人
一刻の 未来のほども 計られず いかで一時を あだに過ごさん
今さらに なにおどろかん 神武より 二千年来 くれてゆく年
昨日といい 今日と暮らして あすか川 流れて早き 月日なりけり
花は根に 鳥は古巣に 帰るとも 人は若きに 帰ることなし
引き留めて 止まらぬものは 月と日と ながるる水と 人の命よ
若いとて 末を遥かに 思うなよ 無常の風は 時を嫌わじ
後の世と 聞けば遠きに 似たれども 知らずや今日も その日なりとは
自慢せず
くらぶれば 長し短かし むつかしや 我慢の鼻の おきどころなし
人にただ まけじと思う 心こそ やがてその身の かたきなりけり
学問は 人たる道を 知るためぞ 鼻にかくるな はなが折れるぞ
高慢を 口では言えど 口ほどに ゆきとどかぬが 多い世の中
智慧のある 人ほどものに 自慢せず 能ある鷹は 爪をかくすぞ
世に誇る 天狗の面も つくづくと 裏より見れば 穴ばかりなり
世の中に せまじきものは 我はがお そらごとぬすみ しょうぶいさかい
情けは味方
世にあれば 人も集まり きたれども おちぶれぬれば とう人もなし
おちぶれて 袖に涙の かかるとき 人の心の 奥ぞ知らるる
水鳥の ゆくもかえるも 跡たえて されども道は 忘れざりけり
めしつかう ものの心を その主の めをかけぬこそ わかれはじめよ
客あれば 犬だに打たぬ ものなるに 科ありとても 人な叱りそ
主だにも 心まかせに あらなくに 使うる者を いかにせめけん
人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 あだは敵なり
ほめばほめ そしればそしる 山彦の 声にも人は 情けとぞしる
極楽は
西へ向き 十万億土と 思えども よくよく見れば 弥陀は目前
西ばかり 弥陀の浄土と 思いつつ みなみにあるは 誰も悟らず
極楽は 西にあれど 東にも 来た道さがせ 南にもあり
苦も楽も ただ打ち捨てて 何となく いきのおわるを 仏とはいう
念仏も うわの空では 後の世の ためにもならず 寝言同然
極楽は いづくのはてと 思いしに 家業精出す 出直しの門
極楽は はるけき程と ききしかど 勉めていたる ところなりけり
極楽は 十万億の 先ならで 誠の心 これが極楽
色という
気も知らで 顔に化かされ 嫁とりて あとで後悔 すれどかえらず
色という 上べの皮に はまりては 世を渡らずに 身を沈めける
身を忘れ 十重も 廿重も 迷いけり 一重の皮の 美しきには
色という うわべの皮に はまりては 世を渡らずに 身を沈めける
老いたるも 若きも同じ 上皮の 色に我が身を 出し抜かれつつ
女郎花 匂うあたりは 心せよ 色香に道を 忘れもぞする
迷うなよ 美人というも 皮一重 醜婦も同じ 皮のひとえに
慎みは
慎みは 朝夕なるる 言の葉の かりそめごとの うえにこそあれ
慎みを 人の心の 根とすれば 言葉の花も 誠にぞ咲く
何事も みつれば欠くる 世の中の 月を我が身の 慎みにみよ
世の中を 恥じぬ人こそ 恥となれ 恥じる人には 恥ぞ少なき
人多き
人多き 人の中にも 人ぞなき 人になれ人 人になせ人
じひもなく 情も知らぬ ものはただ 人の皮着る 犬とこそ見れ
こころよく 人事いわず いんぎんに 慈悲ある人に 遠慮ある人
仁は海 義は高山の 姿なり 誰もかくこそ あらまほしけれ
馴れ馴れて いかに親しき 仲なりと 心にふだん 礼をわするな
掃き掃除 礼儀配膳 何事も じだらくにせず 清くととのへ
勇の字は マことの頭 田けき腹 力あふるる 姿なりけり
世の中の 親に孝ある 人はただ 何につけても 頼もしきかな
世の中の 人のためとて 身を削る 鰹節こそ 味の王なれ
世の中の 人をあしとも 思うなよ 我だによくば 人もよからむ
利口ぶり 言葉多きと 片意地と 短気不律儀 嘘にてもすな
あしきとて
煩悩も もとは菩提の 証拠には 渋柿をみよ 甘干しとなる
あしきとて ただ一筋に 捨てるなよ 渋柿をみよ 甘干しとなる
悪しきとて ただ一筋に すつるなよ 渋柿を見よ 甘柿となる
春の野に 目立つ草木を よく見れば さりぬる秋の たねにぞありける
山水も 木の根岩が根 くぐらずば 大海原に いかで出づべき
千枝もも枝 しげれる松も そのもとは ただふたばより 生えそめにけり
正直の
正直の 神はやどると 頭から 足の先まで 無理非道すな
正直に 建った柱は 細くとも 羽ありもつかず 朽ちもせぬなり
正直に 人の心を 持つならば 神や仏の 守りあるべし
正直に 起きて守れば おのずから 神がみ我を守りたまうぞ
正直の 胸のうちこそ 浄土なれ 仏もあれば 極楽もある
正直の 杖を力に ゆくこそは 欲に目のなき 人にまされり
正直の 頭に宿る 神こそは 家繁盛の 元結なるべし
正直を 心にかけて ますかがみ かげひなたなく つとめ働け
貧しきも
わがいえは 青天井に 地のむしろ 月日をあかり 風のてははき
気は長く 勤めはつよく 色うすく 食ほそくして 心広かれ
貧しくて 心のままに ならぬのを 憂とせぬのが 智者の清貧
貧しきも 富めるも楽も 苦しみも 夢でこそあれ 夢でこそなし
身を軽く
身を軽く こころ素直に 持つ者は あぶなそうでも あぶなげもなし
世にあうは 左様でござる 御尤も これは格別 大事ないこと
世の中は 諸事おまえさま ありがたい 恐れ入るとは 御尤もなり
片寄らず 我が身は船と 心得て 時勢の風に 逆らわず行け
不理屈を いうていっぱし われひとり 理屈のように 思う世の中
降ると見ば 積らぬ先に 払えかし 雪には折れぬ 青柳の糸
降るままに 靡き伏しつつ なよ竹は なかなか雪の 折るべくもなし
真っ直ぐに 行けば迷わぬ 人の道 横筋交いに 行きて尋ぬる
嫁入りの その日のことを 忘れずば 婿姑に きらわれはせじ
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道歌拾遺集
http://sakusabe.exblog.jp/658490/
2006-02-05T13:02:00+09:00
2006-02-06T13:06:01+09:00
2006-02-06T13:06:01+09:00
55kara
道歌もの
仮の世の 仮の宿りの 仮垣に なわばりをして 長短とは
兄弟が 田を分け取りの 争いは たわけものとや 人のいうらん
仮の世に 仮の宿りの 垣に 縄張りをして 長短かとは
あらそいの 握り拳も 開くれば 可愛いと撫でる 同じ手の先
あらそいは げに山びこの こだまかや わが口故に 先もかしまし
あらそわぬ 風に柳の 糸にこそ 堪忍袋 ぬふべかりけれ
ありという 人に地獄は なかりけり なしと思える 人にこそあれ
気もつかず
気もつかず 目にも見えねど 知らぬ間に ほこりのたまる 袂なりけり
なき物を 仕出す宝の 手を持ちて ただおく人ぞ 愚かなりけり
水壺の 水はいつでも 清けれど わが不精から ためる水垢
夜遊びや 朝寝昼寝に 遊山好き 引っ込み思案 油断不根気
悪いとは 知りつつ渡る ままの川 流れて淵に 身を沈めけり
借りるときは 頭の上に いただけど 返さぬ傘は 足下にあり
事足れば
たることを 知るこころこそ たから舟 世をやすやすと 渡るなりけり
事足れば 足るに任せて 事たらず 足らせ事足る 身こそ安けれ
乏しかり 時を忘れて 食好み このみの多き 秋の山猿
道ならぬ 物をほしがる 山猿の 心からとや 縁に沈まん
千畳の 座敷持ちても なにかせん たった寝床は たたみ一枚
千両箱 富士の山ほど積んだとて 冥土の土産に なりはすまいぞ
身を思う 心は身をば 苦しむる 身を思わば 身こそ安けれ
身のほどを 知れと教えし 伊勢の神 今もわら屋の 宮にまします
身を知らば 人の咎にも 思わぬに 恨み顔にも ぬるる袖かな
思うこと ひとつかなえば またひとつ かなわぬことの あるが世の中
事足れば 足にも慣れて 何くれと 足がなかにも 猶嘆くかな
足る事を 知りからげして 身を軽く 欲の薄きに 福と寿はあり
破れたる 衣を着ても 足ることを 知ればつづれの 錦なりけり
壁に耳
悪しきこと 人は知らぬと 思えども 天に口あり 壁に耳あり
誰知ると 思う心の はかなさよ 天知る地知る 人の知るなり
壁に耳 石のものいう 世の中に 人知れずとて 悪しきことすな
いつとなく 見知る聞き知る 蚤の息 天に通うと いう例えあり
壁に耳 石のものいう 世なりけり 露ちりばかり 盗みはしすな
人知れず 暗きところで なす業も 世に白波の 立たでおくべき
垣壁も 人の目口と 思いつつ 見聞かんことを 語りはしすな
知るまいと 思う心の 愚かさよ 月日の眼 あきらかに照る
りょうけんし いかにかくすと 思へども ただよく人の しるは世の中
あこがれて 出てゆく後の 柴の戸に 月こそやがて 入り代わるらむ
なせばなる
なせばなる なさねばならぬ なにごとも 成らぬは人の なさぬなりけり
一筋に 思い射る矢の 矢先には 堅くと見ゆる ものなかりけり
虎とみて 石にたつ矢も あるものを なぞか思いの 通らざるべき
おしどりの みなるるほどは つれなきを 下苦しとは 知るらぬや人
見ればただ 何の苦もなき 水鳥の 足に暇なき 我が思いかな
世にあるを 思えば人の しもべかな 上に使われ 下に使われ
雨霧に うたるればこそ 紅葉葉の 錦を飾る 秋はありけれ
井戸掘りて 今一尺で 出る水を 掘らずに出ず という人ぞうき
憂きことの なおこの上に つもれかし かぎりある身の 力ためさん
惜しまれて 玉となる身は いさぎよし 瓦とともに 世にあらんより
思うままに ならで逆目に 立つ板は おのが鉋に 錆のあるゆえ
重くとも 我が荷は人に 譲るまじ 担うにつけて 荷は軽くなる
今日限り
今日限り 今日を限りの 命ぞと 思いて今日の 勤めをばせよ
苦と楽の 花咲く木々を よくみれば 心の植えし 実の生えしなり
小石をも よけてそろそろ はびこりて 木の根はついに 岩をわるなり
千万石 積み重ねたる 米の山も ひとつひとつの 俵よりなる
千里ゆく 道もはじめは 一歩み 低きよりして 高く登りつ
丹精は 誰知らずとも 自ずから 秋の実りの まさる数々
長命を 祈らぬ人は なかりけり まこといのらば 朝起きをせよ
なるように なろうというは 捨て言葉 ただなすように なると思えよ
花見とは 稲の花見が 花見なり 吉野初瀬は そのうえのこと
身にもてる 玉と雖も 磨かずば あたら光の 世には知られじ
身にもてる 心の玉の くもりなば ふみ読むわざも 甲斐やなからん
実るほど 稲はうつむく 人もまた 高き身とても 奢らぬぞよき
昔蒔きし 木の実大木と なりにけり 今蒔く木の実 後の大木ぞ
道という
いのちより 名こそ惜しけれ もののふの 道にかふべき 道しなければ
思いみれば この身の外に 道もなし 身をまもるこそ 道をしるなれ
聞きてよし 言えばなおよし 行なえば いとも妙なる 人の道かな
心をば 心にさとす 心こそ まことに道を なすといはまし
ともすれば あらぬ方にと 踏み迷う 教え難きは 人の道なり
人心 悪しき道には 入りやすし 朱に交わりて 赤恥をかく
道という 言葉に迷う ことなかれ 朝夕おのが なす業と知れ
見渡せば 果てしも知れぬ 荒海も わたらば渡る 道はありけり
闇の夜も 心の月の 出でぬれば いづこへ行くも 道は迷わず
梁伝う 鼠の道も 道なれど まことの道ぞ 人の行く道
あみの糸 一つすじめの 違うゆえ 乱れにけりな 人の世の中
思いみよ
暁の 寝覚めになりと 思いみよ 日々に三たびは 省みずとも
奢ったり 遊んだりした 仕返しに 難儀な年の 尻がくるなり
釈迦もまた あみだも元は 人ぞかし われもかたちは 人にあらずや
人のただ よかれと思う いさめごと 耳に入らぬぞ 愚かなりける
人我に 辛きも人を とがめずて 我が身の悪き 影とこそ知れ
道の辺の 草にも花は 咲くものを 人のみあだに 生まれやはする
若きとき 学ばぬ悔いを かみしめる 奥歯なきまで 身は老いにけり
我が宿に やしないおける 犬だにも うち罵りて 責めじとぞ思う
我が善きに 人の悪しきは なきものぞ 人の悪しきは 我が悪しきなり
身をすててこそ
山川の 末にながるる とちがらも 身をすててこそ 浮かぶ瀬もあれ
河水に 流れ流るる ちから藻も 身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ
みる人も みらるる人も うたたねの 夢幻の 浮き世ならずや
憂きことは 世にふるほどの 習いぞと 思いも知らで なになげくらん
うつせみの もぬけのからと 身はなりて 我もあらばこそ ものおしはせめ
夏蝉の もぬけて果てる 身となれば 何か残りて ものおじをせん
なぜさすり 大事にするも 手あぶりの つめとうならぬ うちでこそあれ
顔くせを 常にたしなめ とがなくて 世ににくまれて なににかはせん
木に竹の 無理はいうとも そこが親 いわせて桶屋 たが笑うとも
手を打てば 下女は茶を汲む 鳥はたつ 魚寄り来たる 猿沢の池
手を打てば 鯉は寄り来る 鹿は逃ぐ 下女は茶を汲む 猿沢の池
惜しむとて 惜しまれぬべき この世かは 身を捨ててこそ 身をも助けめ
憂きことは
哀れとも うしともいわじ 陽炎の あるかなきかに 消ゆる世なれば
いづくにも 心とまらば すみかえよ ながらへぬれば 元のふるさと
憂きことは 世にふるほどの ならいぞと おもいも知らで 何嘆くらん
憂きことも 知らで千年も 経る田鶴の 清き心に ならへ世の人
鴬が 法華経を説くと いうならば 雀は忠忠 烏は孝孝
美しき 花に良き実は なきものぞ 花を思わず 実の人となれ
おしなべて 心ひとつと 知りぬれば 浮世にめぐる 道も迷わず
思えただ 満ればやがて 欠く月の 十六夜の空や 人の世の中
聞きしより 思いしよりも 見しよりも のぼりて高き 山は富士が嶺
聞けや人 忠とあしたに 雀の子 孝と夕べに 鴉鳴くなり
暗きより 暗き道にぞ 入りぬべし 遥かに照らせ 山の端の月
ここもうし かしこもうしと 嫌うなよ いずこも同じ 秋の夕暮れ
心より よこしまに降る 雨はなし 風こそ夜半の 窓を打つらめ
帰らぬ昨日
心から 流るる水を せきとめて おのれと縁に 身を沈めけり
咲く花を 歌によむ人 ほむる人 さかせる花の もとを知れかし
咲くもよし 散るも吉野の 山桜 ただ春風に 任せてぞみん
桜花 けふこそかくは におふらめ 頼みがたきは 明日の夜のこと
差し当たる 今日のことのみ 思えただ 帰らぬ昨日 しらぬ明日の日
三度炊く 飯さえこはし 柔らかし 思うままには ならぬ世の中
死ぬるのみ 一大事かは 人はただ 生ける間ぞ 一大事なる
年を経て 浮き世の橋を 見かへれば さても危うく 渡りけるかな
万能に 足りてももしや 一心が 足らぬと役に 立たぬ世の中
人は皆 持ちつ持たれつ 世をわたる 一人離れて 保つべしやは
人皆の 選ぶが上に 選びたる 玉にも傷の ある世なり
人をのみ 渡し渡して おのが身は 岸に上がらぬ 渡しもりかな
ぶらぶらと
舟と水と 仲良くてこそ 世を渡れ 心の荒き 浪風ぞ憂き
ぶらぶらと 暮らすようでも ひょうたんは 胸のあたりに 締めくくりあり
水車 みずから臼の みずからは することも知らで 米やしらげん
世の中に 身のとりどころ なかりきと いわれんことや 無念ならまし
世の中は 兎と亀の かけくらべ はやいからこそ おそくなるなれ
世の中は かくぞありけり 猿の手の 左のぶれば 右は短し
世の中は ふくべの尻で 鯰の尾 おすが如くに わたるべきなり
世の中は 何をいまはの 苔むしろ ただ働くに しくものぞなき
世の中は 回り合わせば 擂鉢の 甘き日もあり 辛き日もあり
世の中は 月に村雲 花に風 思うにわかれ 思わぬに逢う
わが性の 人にかくれて 知られずば たかまのはらに 立ち出でてみよ
悪いこと 人は知らぬと 思うなよ 天に口あり 壁に耳あり
すまば澄め にごらば濁れ 月影の 宿らぬ水の あらばこそあれ
我が身だに 我がままならぬ 世の中に 思うままには ならぬ世の中
天地と 分かれし中の 人なれば 下を恵みて 上をうやまへ
世の中は 人の上のみゆかしけれ うらやむわれも うらやまれつつ
這えば立て
誰もみな こころは父の 形見なり はずかしめなよ 己がこころを
誰もみな からだは母の 形見なり きずつけなよ 己がからだに
世の中に 思いやれども 子を恋うる 思いにまさる 思いなきかな
思いやれ 使うも人の 思い子ぞ わが思い子に 思いくらべて
花ならば またくる春も 咲きぬべし 散りし吾が子は 帰らざりけり
這えば立て 立てば歩めの 親心 吾が身に積もる 老いを忘れて
いつまでも あると思うな 親と金 ないと思うな 運と災難
いつまでも 親の目からは 子供なり 子供心に なすが孝行
芋を見よ 子に栄えよと 親やせて えぐうなったり 甘うなったり
おのが子の 巣立ち誘いて 野の雲雀 手もおよぶべき 空にてぞ鳴く
親の子を 思うほどには 子も親を 思うて親に つくせ子の道
孝行を したい頃には 親はなし 孝のしどきは 今とこそ知れ
孝行を 肌身こころに はなさずば いづくへゆくも 怪我はあるまじ
たらちねの 心の闇を 知るものは 子を思うときの 涙なりけり
父母の恩 山より高く 底深き うみの親ほど 尊きはなし
はかなしや
はかなしや 朝見し人の 面影の 立つは煙の 夕暮れの雲
これもみよ 満つればやがて 欠く月の いざよう空や 人の世の中
咲かざれば 桜を人の 折らましや さくらのあだは 桜なりけり
むりなりと
むりなりと 思いながらも いいかかる 性を性にと するは人かは
成功を 急げば無理の 出るものぞ 無理のないよう 無理のないよう
思うべし 人はすりこぎ 身は杓子 思いあわぬは われゆがむなり
姑めの 杓子当りが ひどければ 嫁ごの足が すりこぎとなる
何事も 時ぞと思え 夏来ては 錦にまさる 麻のさ衣
名は末代の
下駄足駄 刻みかえれば 釈迦阿弥陀 かわればかわる ものにぞありける
聖人と いうは誰かと 思いしに おらが隣の 丘のことなり
おもうべき ものは身よりも 名なりけり 名は末代の 人の世の中
油断こそ
油断より 小事大事に なるものぞ こころをつけよ 事の初めに
ゆだんすな いたずらものの 我が心 日々に直して よく使うべし
油断こそ 大敵なりと心得て 堅固に守れ おのが心を
ゆだんすな 身は鴛鴬の 仲なりと 淵瀬にかかる 人の心ぞ
ゆだんすな 比翼連理の 仲なりと 淵瀬に変わる 人の世の中
甘いかと 思えば渋が またかえり 油断をすれば 恥の柿の実
大石に つまづくことは なしとても 小石につまづく ことな忘れそ
折りえても 心許すな 山桜 さそうあらしの 吹きもこそすれ
心せよ 蛍ほどなる 煙草の火 心ゆるせば 早鐘の音
小敵よ 弱き敵よと 油断すな あなどる故に 負けをこそとれ
束の間も 油断をなすな 一時が 千里の違いと なると思いて
夏草の おのが時とや しげるらん 霜にもあはむ 秋も思わで
用心の 良いも悪いも その家の 主ひとりの 了見にあり
世渡りは 浪の上いく 舟なれや 追手よきとて 心ゆるすな
わざわいの 門口なれば 油断なく 心の内の 慎みをせよ
欲深き
どんよくの 心を種に 植えおきし こがねの花は 散りやすきなり
落ちて行く 奈落の底を 覗き見ん いかほど欲の 深き穴ぞと
おのが身の 主人を知らで 欲という いたづらものに まかすあぶなさ
欲深き 人の心と 降る雪は 積もるにつけて 道を忘るる
兄弟の 中も互いに 敵となる 欲は激しき 剣なりけり
欲深き 人の心と 降る雪は 積もるにつけて 道を離るる
おそるべし 欲のほのほは 激しくて 我が身も家も 人も焼くなり
物事の 一つかなえば また二つ 三つ四つ五つ むづかしの世や
毒多き 毒の中にも 気の毒は なにより毒な ものでこそあれ
世の毒は 口から入れど 気の毒は 目から鼻から 耳からも入る
急がずば
急がずば 濡れざらましを 旅人の 後より晴れる 野路の村雨
ころころと 転げやすきは 人心 転げぬように 心して持て
もののふの 矢走のわたし 近くとも 急がば回れ 瀬田の唐橋
きっぱりと 埒の明きたる 世の中に 埒を明けぬは 迷いなりけり
散りぬれば 後は芥に なる花を 思い知らずも 惑う蝶かな
われという その角もじを 折りつくせ 迷い悟りも 忘れ抜くほど
上見れば
上見れば 及ばぬことの 多かりき 笠見て暮らせ おのが心に
上見れば 及ばぬことの 多かれど 笠ぬぎてみむ およぶ限りを
上見れば ほしいほしいの 星だらけ 笠着て暮らせ おのがこころに
下見れば 我に勝りし 者はなし 笠とりて見よ 天の高さを
融くれば同じ
あめあられ 雪や氷と へだつれど とくれば同じ 谷川の水
雪氷 雨やあられと へだつれど 落つれば同じ 谷川の水
酒は心の
百薬の 長たるゆえに かえりては また百病の もととなる酒
慎めや 鏡は姿 見すれども 酒は心の 内を見すれば
空渡る 雁の一行 見るにつけ 世にうれしきは 友にぞありける
よき事に むすびてわるき 事はなし 麻の中なる 蓬見るにも
堅けれど 砕くに易き 瀬戸物の 心を知れば ふれぬこそよき
夢の世に
夢の世に 夢の如くに 生まれきて 露と消えなん 身こそ安けれ
夢ゆめと 口にはいえど 悟りやらで 夢に夢見て 遊ぶ夢助
夢さめて 衣の裏を けさ見れば 珠かけながら 迷いぬるかな
夢の世と 思いながらも 厭わねば 誰がなすわざと その主をみよ
夢なれば 覚めなと思う 嬉しさに 寝返りもせず 待つぞ楽しき
借り切りと 思う間もなく 目が覚めて 乗合船の 夜半の起き伏し
仮の世を 仮の世じゃとて 仇にすな 仮の世ばかり おのが世なれば
一生を 夢とは知らず 覚めぎはに 夢と知りゆく 夢の世の中
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白隠禅師の子守唄
http://sakusabe.exblog.jp/657763/
2006-02-05T11:37:00+09:00
2006-02-06T11:37:48+09:00
2006-02-06T11:37:48+09:00
55kara
道歌もの
その子どこにと尋ねてみれば どこに居るやら無明の闇で
ありか知れねど余所(よそ)ではないぞ
母の胎内宿りしよりも ついに離れず身に引き添うて
熱い冷たいよしあし共に 指図次第に任せて置けば
悪い事せず善い事ばかり 神の仏もほかには無いぞ
されど日々悪智慧ついて 気随気儘の手勝手仕出し
いつの間にやらこの子宝に 凡夫頭巾をかぶせて仕舞ひ
あたら宝の持ちぐさらしよ
酒と色とにその身はただれ 遊楽夜あそび朝寝と小言
欲に目のないばくちの勝負 勝てば勝ちたし負くれば惜しく
山をこかそか山からこかそ うそで世渡りや浮かべる雲よ
栄耀栄華も昨日の夢じや とかく正直正路に習へ
天地国王、主人や親の 恩の重きを心につけて
衣服食事におごりをするな 寒うひだるう無ければよいぞ
家財諸道具かざりはいらぬ 雨露(うろ)にあたらず用さへかなひ
すめば住吉おごらぬ心
伊勢の太神(おおかみ)三杵(みきね)の御供(ごくう)
宮は茅葺きおごらすまいと 神の恵みのアラ有り難や
貧と福とは天命なるぞ 知らで無理せばその身の過(とが)よ
心正直、少欲なれば 貧は貧でも不足はないぞ
結句(けっく)、金持ち苦労の種ぢゃ へらすまいとて貪欲すれば
親の金をも盗むに同じ ついに家庫(いえくら)空しく成るぞ
宝へらさぬ工夫というは 我が身つづめて仁心、発(おこ)し
慈悲と情けで人をば助け 家内眷属一家をはじめ
友と知音も成丈(なるたけ)すくへ
金は限りのあるものなれば 入るを計りて出だすが好いぞ
倹(けん)と吝(りん)とをよく弁えて 倹は我が身の奢りを省き
吝は内外に辛き目みせて 不仁不義から為す業(わざ)なれば
我に足ること知らぬが故ぞ 餓鬼の苦患(くげん)と言ふのはここよ
信さへありや貧者も仁は 出来るものだよ、貪欲瞋恚(しんに)
愚痴を離れりやみな慈悲心よ 身にも口にも意(こころ)は猶も
人の助力や世界の道に よかれよかれとなすわざなれば
直に神なり菩薩の行よ 士農工商みな受け得たる
己が家職を大事にすれば 我と天地と相応いたし
四海兄弟、他人はないぞ
しかも佛の御法(みのり)の教え きけば一切男子も女子も
共に生々(しょうしょう)のわが父母ぞかし しかし他人の気に入るとても
主(しゅう)と親とに背いた時は 神や仏の守りは無いぞ
主は日月(にちげつ)、父母天地 これに仕へて忠孝すれば
神や仏を祈らずとても 常に身に添ひ守らせ給
後生極楽ほかでは無いぞ 子供そだてが大事でござる
子供よければ我世を譲り 隠居したとこ安楽世界
現世安穏(げんせあんのん)未来は浄土 後生願いがたらわぬ時は
隠居しながら子の世話焼いて 鬼の呵責(かしゃく)や閻魔(えんま)の役目
親子もろともこの世が地獄 子供はじめは性善(せいぜん)なれど
愛が過ぎれば気随(きずい)になるぞ 友を選ぶが先ず第一よ
友が悪けりや悪いがうつる 友がうそつきや、うそつき習ふ
麻につれたる蓬(よもぎ)の草よ 親の仕業(しわざ)がみな子に移る
親がよければ子もよいぞ 親が欲なと子供も欲な
子供不孝で片親ないは なおも育てが大事でござる
父は与楽の慈の教訓に 母は抜苦(ばっく)の悲の愛憐(あいれん)よ
これが片よりゃ片輪になるぞ 五体人なみ、心は片輪
慈悲の二つを一人の親が 兼ねて勤めしためしもあるぞ
むかし孟母は織りける機(はた)を 切って怒って子を励ませば
その子一途に学師につかへ 今も孟子と尊とばるるも
母の慈悲より起こるときけば 子供しつけが大事でござる
奉公さすなら情けをかけな 殊に女子には教えがいるぞ
嫉妬深いと衣類のかざり これも愚痴から起こるといへど
母の仕方がみな従ふぞ 母の気随(きずい)が娘に移り
母が奢れば娘も奢る 母が癇癪(かんしゃく)娘が短気
母を習ふが娘の道よ 外へやろふが跡目にせうが
妻は夫にしたがふ習ひ 内をおさむる役目となりて
気随気儘に身勝手すれば 家内乱れて修羅くら煮へる
修羅の道こそなお遠ざけよ たとい夫は愚かにあろと
神や仏や主人と頼め 舅姑我が二親(ふたおや)よ
下をあはれみ身を高ぶるな 夫婦和合は則ち天地
心正直内外の神よ 慈悲の仏に五ツの道は
人の人たる道こそ是れよ 儒仏神道みなこの事よ
寝るも起きるも立っても居ても いかに如何にと一心不乱
信をこらせばよい子が知れる 年はいくつか無量寿ぼとけ
いやな顔せずさて愛らしい 又と二人は無い御子(みこ)さまよ
唐(から)や天竺(てんじく)十方世界 どこも此の御子ひとりの沙汰よ
何宗角宗(かにしゅう)もひとつの月よ 須磨も明石も姥捨て山も
吉野竜田の紅葉も花も 外(ほか)を尋ぬる事では無いぞ
寒さこらへりや暑さが来る ここは娑婆とて堪忍(かんにん)国土
忍をなす故、人ではないか しとも無いとも親孝行と 主人忠義と家業を励め
是れをこらへてしなれりや遂に 実に忠孝礼儀になるぞ
万芸万能学問とても 始め上手な物では無いぞ
すべて堪忍その功積もり 妙に至りて師と仰がるる
むかし南都の明詮僧都(みょうせんそうず) 学をうとんで夜の間に寺を
出でて雨降り大仏殿に 宿るあしたが雨強く降り
軒の雨だれ当たりし石に 穴のあきしも天然自然
堅き石さへ穴あくからは 堅い文字(もんじ)もしばしば見れば
ついに了解(りょうげ)も成りそなものと 倦むをこらへて勤学(ごんがく)あれば
法相一宗の知識とよばれ 今の代(よ)までも名のかんばしき
したい事にはよい事ないぞ うそか遊戯(ゆげ)か奢りの沙汰か
色かばくちか朝寝か酒か 心よごれて地獄の種ぢや
是れもこらへてせぬのがよいぞ こらへさへすりや人には成るぞ
悪い癖よりよい癖つけよ 浄い汚いも分けたがよいぞ
地獄きたなし 清いは浄土 神も仏も皆我なりと
我意(がい)を立つれば即ち邪見
家に伝はる宗旨を替へな 国の御法度先祖の家法
堅く守るは祈祷の札よ 欲な願いで作善をこめる
神や仏は非礼を受けず
念仏、題目、経読むことも 悪と欲心忘れぬ時は
やはり今生(こんじょう)地獄におつる
在家却って極楽往生 我を離れた香華(こうげ)の供養
わずか一食を備ふるとても 功徳大いに罪咎(つみとが)のがる
思案分別みな妄想よ 我心自空(がしんじくう)は世尊の御法(みのり)
有り難いぞやかたじけないぞ 心清浄、正念にして
日々に新たに日々うたへ 念仏、題目、子守りの唄よ
この子大事に守(も)りさへすれば 生死離れて無漏土(むろど)に至る
願ひ次第に十方浄土 寂光極楽いずれへなりと
儒仏神祖も手を引き給ひ 往きて生まれて蓮の臺(うてな)
ついに子守りも仏の位 家内安全、目出たかりける
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御洒落御前物語
http://sakusabe.exblog.jp/657656/
2006-02-05T11:27:00+09:00
2006-02-06T11:26:15+09:00
2006-02-06T11:26:15+09:00
55kara
道歌もの
器量こつがらサテたぐひなき 唐(から)で楊貴妃、日本の小町
花にたとへりや吉野のさくら 腰の細さは川辺(かわべ)の柳
釈迦も達磨も阿羅漢たちも 端(はっ)とおどろき手をうちはらふ
去年(こぞ)の春よりただうつうつと 思ひ顔して日影をこのむ
いろでやせるか心苦がますか かたりたまへと人さまいへば
辛苦なければ色でもやせぬ 私しや悟りに浮き身をやつす
寝てもおきてもさて歩くにも どふぞどふぞとただ一すじに
心がけたりや、つい埒(らち)あいた
とかく皆様、異見じやないが わしがいふことよふ聞かしやんせ
あはれなるかな世間の人の 暮らす家業をよくよく見れば
千年百年(ちとせももとせ)生くべきよふに 心うかうか月日をおくる
今に死すべき事をも知らず 慈悲も情けも後生の事も
欲の余りにただあやまりて 未来苦患(くげん)のあることしらず
此世来世も助かりたくば うたぬ隻手(かたて)の声聞かしやんせ
経や陀ら尼(だらに)をよむより勝る 直に仏のおすがたとなる
未来蓮華はまだるい事よ 西も東も南も北も
土や草木や海山かけて 蓮華ならざる所はないぞ
西方(さいほう)極らく十万億も 直に足もと、それはなの先
それも見性(さとり)の眼がなけりや どこもかしこも三途の地ごく
またも刃の山ともなるぞ とかくつとめて見性(けんしょう)すれば
三途地獄(さんずじごく)も刃の山も きへて浄土と現れにける
今に死すともてんぽの皮よ 自己がひらけにや此世(このよ)をかけて
万劫末代、地獄の修行 たとへ学文(がくもん)博識とても
死ねば奈落の罪人となる 在家なりとも見性すれば
生死はなれて明るい世界 さとり開かぬお寺にまさる
いろや博奕(ばくち)の御はなしならば 昼夜ねずとも面白かろが
こんなはなしは気に入るまいぞ こころ強くもいひきかすれば
みんなそびら(背中のこと)に汗水流し 笑止がほして我が家に帰る
無常なる哉その年暮れに 思ひがけなき病に付いて
床の上にて臥しにける 今をかぎりと両親(ふたおや)達は
後(あと)や枕に立ち添いよりて なみだながして念仏進む
娘もとより見性すれば 親に向かひて申せし様は
わしがからだは去年の春に 後生極楽疑ひなけりや
今に死すとも苦は有りませぬ 辞世二首と紙筆(かみふで)とりて
ついに二首の歌書きつけぬ それや紀念の末期の一句
向こう通るは清十郎じやないか 笠がよふ似たすげ笠が
笠が似たとて清十郎であらば お伊勢参りはみな清十郎 ]]>
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